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「主任は大人の余裕ってものを持ってないんですか?」
「……持ってたつもりだけど、どうやら彼女に限り持ち合わせていなかったようだよ」
自分でも
驚くくらいに
多分、いや確実に
俺は今、嫉妬心に支配されている。
今まで
こんなことくらいで
イライラして自分の
気持ちを抑えられなかったことはなかった。
なのに
今回は
気持ちを抑えるどころか
むしろ彼女が俺以外の男を頼り
出来上がった企画書を俺へと笑顔で
持ってきた彼女につい冷たい態度をとってしまった。
「アホですね」
「……そうだな。俺もそう思うよ」
蜜羽の前では
大人の余裕なんて関係ない。
彼女には
経験や策なんて通用しない。
彼女の
些細な行動や言葉ひとつで
いとも簡単に俺の心を惑わすのだから……
「で、藤井さんは?」
彼女のデスクへと
視線を移せばそこには彼女はいなくて
.
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