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「資料室に行くって言ってましたよ。」
「そうか……」
先ほどは
自分から彼女と
故意に
目を合わせなかったのに
彼女の姿が見えないと不安に感じる。
「今頃、ひとりで泣いてるんじゃないんですか?」
「……」
「可哀想に。子供染みた彼氏のせいで、今頃悲しくて泣いてますよ、きっと」
「……」
「私が子供染みた彼氏さんの代わりに藤井ちゃんの涙、拭いて慰めに行きましょうか?」
「……俺が行く」
反射的に
立ち上がった俺を見て
クスクスと小馬鹿に
するような笑みを浮かべる花田さん。
「上司をからかって楽しい?」
「はい、とっても」
「……」
やっぱり俺
花田さん苦手だわ……
そんなことを考えながら
部署を出て急足で資料室へと向かった。
「……世話が焼けるわね、本当。最初から行けばいいのに」
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