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「本気になってもいい?」 「っ」 耳元で 甘い声でそう囁かれ 私の胸の鼓動はさっきまでとは 比べ物にならないくらいに音を立てて加速していく。 なんだろう…… いつもと違って メガネをかけていないからか 見慣れない主任に 思わず見惚れてしまい視線が逸せない。 「否定しないの?」 「え?」 「……それは、肯定と捉えていいのか?」 「し、失礼します!!」 こんなにも ドキドキしたのは初めてで 耐えきれずに 私は逃げるようにして屋上を出た。 「……藤井蜜羽、久々に本気になれそうだ。」 ニヤリと 口角を釣り上げ 私の後ろ姿を見ながら そう言った主任を当然ながら私は知る由もない。 .
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