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主任の言葉に
驚いて一瞬顔を上げたけれど
主任と視線が絡み
なんだか気まずくて再び下を俯いた。
「だ、大丈夫です!泣いて、ないですから……私、花田さんに頼まれてファイルを探しに来てるだけなんで……失礼します」
どうしよう……
私のことを心配して
来てくれたことがたまらなく嬉しいのに
やっぱりさっきの気まずさから
その場から逃げようとした瞬間、主任に腕を掴まれた。
「……お前の脱走癖は把握済みだ。そう何度も何度も逃げられてたまるか」
「は、離し」
「なんで俺を頼らなかった?」
「え?」
「いつも、仕事で分からない時や悩んだ時は俺にすぐ聞きに来るくせになぜ今回は来なかった?なぜ、俺以外の男に聞いた?」
真っ直ぐな瞳で
私のことを
見つめながら主任はそう聞いてくる。
その言い方は
まるで拗ねたように
……ううん、嫉妬しているような言い方で
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