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玲子とルミ
駅前の歩道、人混みの中を一人歩く玲子。
前方からは無数の人々が歩いてくる。
人の波が押し寄せると同時に
その中の一人がすれ違い様に
玲子のポケットに鍵を落とした。
玲子はそれを確認するとそのまま
コインロッカーが設置してある場所に
歩いて行った。
駅前のコインロッカーに辿り着くと、
ロッカーの鍵に記された番号、『7』番の
鍵穴に鍵を差し込んだ。
ロッカーの中には、大きめのトートバックに
入った包みが置いてあった。
玲子はその紙袋を手に取り中を確認すると、
次は東が指定した高架下の駐車場を目指した。
人気がない、高架下の駐車場に着いた玲子。
キョロキョロと辺りを見渡すと、駐車場の
一番奥に停めてある車を目指してゆっくりと
歩み寄った。
車の運転席を覗き込むと、そこには、
ダイアル式の施錠ができる銀色の
小さなアタッシュケースが置いてあった。
玲子は、鍵がかかっていない運転席の
ドアを開けアタッシュケースを手に取り
コインロッカーから取り出すと
大きめのトートバックの中に入れた。
「よし、これでOK」と呟くと玲子は
駐車場から歩き去った。
物陰に隠れ玲子が歩き去る姿を
確認した東はインカムのスイッチを押すと、
「横石、現物を確認しました」
と如月に告げた。
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