第1話

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「ここが喫茶Rollin…」 藁にもすがる思いでとやって来たけれど、意外とオシャレな外観だ。落ち着いた街並みの雰囲気によくあった、シックで少しこじんまりとした印象も受ける。 意を決して扉を開けるとチリンと軽快な音が鳴った。 「いらっしゃいませ。良ければカウンターへどうぞ」 店員はここのマスターらしき人1人しか見当たらない。もしかすると個人経営なのかもしれない。 歳は30代くらいだろうか、少し長めの暗い髪を後ろでひとつにまとめている。喫茶店のマスターというよりはモデルのような風貌だ。 「ご注文はお決まりですか?」 「…カフェラテのコーヒーとミルク抜きで」 「……かしこまりました。少々お待ちください。」 こんな変な注文で本当に探しているものは見つかるのだろうか…と少し遠い目をしていたら、 「お待たせいたしました。こちらへどうぞ」 と、裏のスペースに招かれた。
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