3人が本棚に入れています
本棚に追加
どういううんちくを語っているのだ。早く物語を展開させなければならない。
「ワールドカップイタリア大会は西ドイツの優勝だったな」和夫は言った。
「君は歳いくつだ?」和夫はレオに聞かれた。
「君と同じに決まっているだろ、同級生なのだから」和夫は答えた。
「それもそうだな」レオは笑った。
「オレの父親はサッカーマニアでワールドカップとかヨーロッパ選手権とか、父親と一緒に幼稚園児の頃からテレビで見ていたな」和夫は父親のことを思い出した。
「オレの親父もサッカーは好きだな」
和夫はレオの答えを聞いてお互いの父親のことを考えた。
「八十年代の中学生は何かしらの形でサッカーに関係していたな」和夫は言った。
「『キャプテン翼』とかコミックがあったからな」
「ところでサッカー部の試合はどうなった?」
「知らねえ、負けたじゃない」
「今年のワールドカップはどこで本大会やるの?」
「忘れた」
「文芸部はどうなるのだ?」
「サッカーのノンフィクションの本でも出してやろうかな?」レオは言った。
「君の文才ならできるよ」和夫は答えた。
「できるかな?」レオは目を輝かせた。
「できる」和夫は制服のブレザーを着た。
「書いてみよう」
「レオは幼稚園の頃サッカーしていたのだろ?」
「していた」
「幼稚園児時点でエースストライカー、すげえ」
「たいしたことないことないよ」レオは謙遜しているようだった。
「どうしてサッカー部に入らないの?」
「やる気ないな」
「中学生のサッカーは嫌なの?」
「そういうことではないけど」レオは少し笑ったのであった。
「これからAIとか出てきて文芸部はどうなるのだ?」和夫は悩みを打ち明けたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!