スパンコール 10

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スパンコール 10

よく晴れた日曜日、クリーニングの4号店のカウンターにバンドマンらしき男の子がやってきた。 「あのー……」 住宅街のコインランドリーで明らかに異質なその子は、伺うように私を見つめている。 「ここでライブの衣装を作ってくれるって聞いたんスけど……」 「はい、承っております!何人分でしょうか?こちらが料金表になるんですが――」 男の子は食い入るように料金表とデザイン例を見つめている。 大学卒業後、家業を拡大させた私はひっそりと副業で衣装制作も受けることにした。 表立って宣伝はしないが口コミで広がって、ときどきこうして依頼が舞い込んだ。たいていは金欠の若い子なので、ついでに系列クリーニング店のバイトも斡旋している。 男の子はひと通り話を聞いた後、メンバーと相談してみますと言って帰っていった。店は再び洗濯機と乾燥機の音に包まれる。ドラムの中でぐるぐると洗濯物が回っている。今日は大きいものを持ち込むお客さんが多いようだ。
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