スパンコール 11(終)

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スパンコール 11(終)

平和な仕事を終えて家に帰ると、灯里ちゃんから荷物が届いていた。さっそく開けてみると、博多明太子の化粧箱が入っている。 灯里ちゃんのバンドは無事メジャーデビューを果たし、こうして地方に行くたびに名産物を送ってくれる。うちの両親は美味しいものが食べられると大喜びだ。なので、灯里ちゃんの家のクリーニング代はサービスすることにしている。 私は明太子をおかずに白米を2膳平らげて部屋に引き上げた。スタンドに立てておいたギターをよいしょと膝に乗せる。コードは覚えたてで、とても人に聴かせられるものじゃないけれど、今のところ楽しく練習している。 今日は何の曲を弾いてみようか。大学時代に何度も聴いた、あの曲にしてみようかな。 私は弦をゆっくりと弾く。私の歌声が静かな部屋に響いている。 ◇終◇
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