〇〇

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「私からもお礼を言わせて下さい。美織を産んで頂き、ありがとうございました」 「ありがとう!!」  深々と頭を下げる女性と同じように二人で頭を下げられて慌てて上げてもらう。  だって、こんなことがあっていいのだろうか?  お腹に居ることも認めず、勝手に産んで、勝手に手放した私が?  赤ちゃんをなかったことにして、普通に中学生活を送り、高校、大学、そして、就職した私が? 「それでね!これ……高校卒業して初の給料で買ったの!」  戸惑う私の目の前でカバンから出てきたのは二つの淡いピンクの包み。  一つは赤いリボンでもう一つは白いリボンが付いていた。 「これを二人に渡したくて……」  言いながら白いリボンの包みを女の子は女性に渡す。そして、 「こっちは……もらってくれる?」  私に赤いリボンの包みを差し出した。  チラリと女性を見ると、女性は微笑んで頷く。 「もらってやって下さい」  言葉に押されるように手を差し出すと、女の子は私の手にしっかりと包みを手渡してくれた。 「二人とも、開けて!」  言われて私たちはそっとその包みを開く。  出てきたのは赤いカーネーションのプリザーブドフラワー。  ピンクの濃さの違うハートに飾られたカーネーションとビーズはキラキラと光っていた。 「いつもありがとう!!」  言われて驚くと、 「もうすぐ“母の日”でしょ?」  笑われて今度は涙が溢れてしまった。  まともに見ることさえできなかった、あの時の赤ちゃんと対面できるなんて……。  まさか母と呼ばれる日が来るなんて……。
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