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「ねぇ!」
また涙腺が緩みそうになったタイミングで美織ちゃんが立ち上がる。
向かい合う私と久住さんを見ながらテーブルの前に立つと、美織ちゃんはにっこりと笑った。
「お母さん!!二人のお陰で、私は本当に幸せです!!」
こんなの……どうしたらいいのだろう。
あの日から抱えてきたどうにもできない罪悪感を美織ちゃんはどんどん溶かしてくれる気がする。
「私も幸せ」
滲んだ涙を拭う久住さんと、
「ね、お母さんは?」
美織ちゃんに見られて私も一度零れそうな涙を拭いた。
「……幸せに……なってもいい、でしょうか?」
「当たり前でしょ!!」
「もちろんです」
二人に全力で頷かれて……こんな私も一緒に笑ってもいい?
生理が遅れていると気づいたあの日。
誰にも打ち明けられず現実を見ないフリをした日々。
やっと向き合えると思ったところでの出産……そして、美織ちゃんとの別れの日。
それさえなかったら、と思いつつ、ずっと後悔と反省を繰り返してきたのに……。
「私が生まれたことで苦しんできた?辛かった?」
まっすぐ見られて戸惑う。
「さっきも言ったでしょ?私は幸せ!だから、これ以上苦しまないで?お母さんの人生、めいっぱい楽しんで?」
手を握って微笑まれて、また泣けてしまった。
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