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「でも……産まれた時、大変でしたよね?」
ずっと気になっていたことを聞くと、久住さんはまぁ、と頷いてポケットアルバムを見せてくれる。
そこには保育器の中でたくさんの管を着けている赤ちゃんが写っていた。
久住さんの手が一緒に写っているとその小ささも実感して申し訳なく思う。すると、
「楽だったとは言いません。でも、週数もわからない十四歳の女の子が急遽出産と聞いて予想していたより、美織は状態もよかったんです」
久住さんは微笑んでこっちを見た。
「小さかったですが、あぁやって毎日病院に通って美織の世話をして……あの期間が私たちをちゃんと親子にしてくれたと思っています」
思い出して語る久住さんを見て美織ちゃんもカバンから違うポケットアルバムを出す。
「こっちも見て!」
そこには幼稚園、小学校、中学校、高校と楽しそうな笑顔の写真がいっぱい写っていた。
「ね!これからはこうやって会ってくれる?今日はお父さん、仕事だから来れなかったけど会いたがってたよ?」
美織ちゃんの言葉に合わせて久住さんも頷く。
見せてくれたアルバムの中には優しそうなメガネの男性も居て、家族で旅行を楽しんでいたり、笑顔いっぱいでバーベキューをする写真もいくつもあった。
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