僕の知らない唄

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 僕は今年で十五歳になる。確かに彼女と比べて若かった。恐らく彼女は十八歳くらいの年齢だと思う。たった三つの差だが、その差が僕と彼女の間に大きな違いを作っていると感じた。十五歳という年齢は手足の生えたオタマジャクシみたいなもので、一つでも上の年代の人と一緒にいると、自分の話し方や立ち振る舞いがひどく稚拙に思えてくるのだ。 「年齢は関係ないんだ」  だって、と言ってみたが、その後の言葉が続かない。僕はただ漠然と世界に絶望していて、ただ漠然と死というものに憧憬を抱いていた。自分の意志が曖昧で言語化ができないことに対して恥ずかしくなり、僕は顔を赤くした。 「噂で聞いてきたんでしょ? 私の歌を最後まで聴けば魂を抜かれて死ぬって。街では都市伝説になっているみたいだね」  僕は頷いた。 「でも歌う気はないよ。私はこの歌が嫌いだから」  嘘だ、と僕は言った。 「だって、僕が来る前から歌っていたじゃないか。誰もいないのに歌うなんて、その歌が好きな証拠だよ」 「違うよ」と彼女は一蹴した。
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