結束と叛逆の合唱

11/11
前へ
/11ページ
次へ
その後、教室で合唱コンクールの打ち上げが行われた。その打ち上げには多香子と舞香は参加していない。井藤先生の説教が終わるなりに、そそくさと帰宅の途に就いたのである。 その入れ替わりに友里恵に呼び出された友恵が参加しており、今回の事情を聞いてとても驚いた。 「そっかぁ、あたしが欠席すれば優勝すると思ったのに…… 皆がサボタージュして優勝逃したんだ」 「馬鹿なことしたと思うけど、悪いことしたとは思ってねぇよ」と、基来が微笑みながら述べる。 宴も(たけなわ)、打ち上げの最後に皆で『マイバラード』を歌うことにした。だが、指揮者も伴奏者もいない。 「指揮いないね」 「いなくていいでしょ? 俺等どうせ指揮見てないし。曲に合わせて歌うだけだし」 友恵が指揮を志願した。 「じゃあ、あたし歌いたくないから適当に手振るわ」 「伴奏もyoutubeの伴奏動画でいいよねー」 三年一組一同、本番では歌わなかったマイバラードの合唱が行われる。 打ち上げも終わった頃だろう。井藤先生が教室に訪れた時に聴いた皆の合唱はとても素晴らしいものであった……  他クラスの先生も三年一組の教室前を通りがかった時に思わずに足を止める程である。 合唱が終わり、井藤先生は拍手をしながら皆に述べた。 「気に入らない奴を除外して、楽しい合唱か。お前ら、これでいいと思ってるのか?」                            おわり
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加