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全学年全クラスの合唱が終わり、審査が行われた。
一年生の優勝クラス、二年生の優勝クラス…… 優勝が発表される度に、そのクラスより黄色い悲鳴が上がる。男子も雄叫びたる歓喜の声を上げているだろうが、黄色い悲鳴の大きさの前に覆われて殆ど聞こえない。
優勝を逃したクラスからは悲哀に満ちた悲鳴が上がるが、「まだ来年」がある身故に笑い声も僅かに混じっている。
そして、問題の三年生の優勝発表が行われた。
「三年生、優勝クラスは……」
三年生の皆は固唾を呑んで優勝クラスの発表を見守る。じっと舞台上を見つめる者、頭を下げて両手を組み祈るように優勝を願う者、隣の者と手を繋ぐ者、至って冷静でいる者、様々であった。
ただ、三年一組だけは「関係ない」とでも思っているのか皆冷静である。
「三年三組、旅立ちの日に」
三年三組が黄色い歓喜の悲鳴に包まれた。皆、手を繋いだり抱き合ったりなどで喜びを分かち合う。
優勝を逃した他クラスからは悲哀の悲鳴が聞こえてくる。もう、来年はないのだから……
ただ、三年一組のみは舞香と多香子が啜り泣く以外は無反応。その一角だけで葬式でも行われているかのように沈黙を守っていたのである。
そして、発表された総合優勝も三年三組。アンコールが行われ、指揮者は総合優勝の栄光を得た嬉しさで涙を流しながら指揮を行うのであった。
舞香と多香子は、悔し涙を流しながら滲む双眸で舞台上の三年三組の姿を眺めることしか出来なかった……
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