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「どうして? 部活『なんか』より、クラスの方が大事に決まってるじゃない? どうせこの中学の運動部なんて弱小なんだし、朝練なんてしなくても同じじゃない? それに朝早いうちから練習するのってあんまり効果ないらしいよ?」
それを言うなら、合唱コンクールの朝練はどうなのだろうか。皆、首を傾げてしまう。
ちなみに舞香は部活に所属しておらず、生徒会の会計を担当している。各部活を成績(結果)や予算(数字)でしか見ていないために、努力や頑張り等は一切見ていない。
伴奏の多香子も生徒会の書紀を担当しており、舞香と考えは似たようなもの。
井藤先生は今立ち上がっている運動部勢を軽く睨みつけた。
「運動部は三年生続けてきた部活が最後の年なのは分かる。だが、クラスも大事にしてほしかったなぁ? だからって叛逆して歌わないのはダメだと思うぞ?」
運動部勢は次々と席に座りだす、最後まで立っていた基来は「それだけじゃないんですけどね……」と、ボソリと怒り混じりの口調で呟いた後にゆっくりと席に着く。
井藤先生はそれに対する総括を行う。
「運動部勢は練習を強制された叛逆ってところか。中三にもなってガキもいいところだな? こういうことやると内申点に響くからな? お前らが志望校に行けなくなっても自業自得だからな?」
運動部勢に限らず、他の者達も覚悟を持って「歌わない」と選択をして今日の合唱コンクールに臨んでいる。皆、凛とした表情で教卓に並ぶ三人を見据えていた。
井藤先生もやれやれと溜息を吐き、皆を見据える。
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