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「で、なんでこうなるの〜」
「私と有紗のどっちが男っぽくなれるか選手権、有紗の完全勝利だったから」
有名ホテルのレストランで男装させた有紗と向かい合ってケーキを食べる。何層にも重なるビターチョコと珈琲の風味がマッチする濃厚なオペラだ。ちょこんとのせられた金箔とビターチョコの球体スライスで芸術点も満点である。
「午前の枠しか取れなかったのは残念だけど、間に合ってよかった」
食の感度が高い人が多いのか、私が予約したので最後の一枠だった。彼氏が居なければ男装させればいいという閃きがあと数分遅ければ危なかったかもしれない。
「麻那菜、アレだけ大見栄きって彼氏居ないんだもん。笑っちゃう〜」
あの生田邸でのことかと苦笑いしていると、テーブルの横にぬっと影が現れた。
「彼氏が居るってあれ、嘘だったんだ?」
後ろの席から出て来たのは見覚えのある男と見覚えのない女装男だった。
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