V

1/3
前へ
/21ページ
次へ

V

「ここは......」 「日本版、パスタ博物館だよ」  生田とのデート、一回目は天井まで様々なパスタが所狭しと陳列された建物だった。ファルファッレ(蝶々のような形をしたパスタ)コンキリエ(貝殻のようなパスタ)などの有名どころから、帽子やキャラクターの形をしたものもある。 「1人では来ないところが良いかなと思って」 (確かに1人では来ない)  独特のチョイスだけれども、私はこういうのは好きだ。だって珍しいものが好きなのだから。  生田はラザニアが入ったラベルを手に取る。 「それぞれのパスタに適切な茹で時間があって、一番美味しいときが存在する。これは人生みたいだなって思って」 「生田はいつが一番美味しい時なの?」 「今かな。仕事も順調だし、趣味の料理も上々。婚活もーーやっと希望が見えてきた」 (変な男)  変な男だけれど、生田はエリートだ。こういう自分に自信があって前向きな男に、私は今まで接したことがなかった。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

36人が本棚に入れています
本棚に追加