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2 帰る方法
書斎のような場所に通されると、ソファに座るように促された。
「まず、ここは人間界ではない。
あやかし達の住む、あやかし街だ…
どうやってここに来たかは知らないが…」
「そんな!?
私はただ神社でコーヒーを飲んでいただけで…!
そしたら、急に視界がくらんで…!」
私は必死にそう言った。
「神社でコーヒーを飲んでいただけ…?
それは変だな…
ここに来る為には何か儀式が必要のはずだ…」
「そう言われても…
本当に…」
「とにかくここでしばらく暮らすと良い。
もちろん、金貨30枚の分は働いてもらうがな。
あぁ、俺の名前は狐光咲夜だ。
まぁ、何とでも呼べ。
お前、名前は?」
咲夜さんが尋ねる。
「吉野…美緒…
みおです。」
「そうか、ここに居る間は狐光美緒と名乗れ。
これを渡しておく。」
彼は狐のモチーフのネックレスを差し出した。
「これは…?」
「狐の妖力が込められているネックレスだ。
それでまず人間とはバレないだろう。」
「ありがとうございます…」
「そう、落ち込むな。
帰る方法は俺が何とかしてやるよ。」
咲夜さん。
「ありがとうございます!
本当ですか!?」
「来れたなら帰る方法もあるはずだ。
気長に待て。」
「気長に…?」
「そうだ、お前がダメにした書物な、金貨30枚なんだよ。
で、お前がこの書店で働いたら1日銀貨1枚をくれてやる。」
「銀貨何枚で金貨なの?」
「10枚だ。
まぁ、頑張れ。」
と言う事は、300日働かなくちゃいけない!?
そ、そ、そんなぁぁぁぁあ!?
「ほぼ、一年じゃ無いですか!?」
「当たり前だろ!
甘えんな!
あの書物はな…
俺が3ヶ月かかってやっと作って…
とにかくやってもらう!」
「はぁぁい…」
私はしょぼんとしてそう答えた。
「お前の部屋に案内する。
付いて来い。」
そして、ついて行くと、与えられたのは6畳一間の小さな畳の部屋だった。
「布団はその押し入れに入ってる。
あと、着物は後で凛に持ってこさせるから。
少しここで休んでいろ。」
そして、咲夜さんは去っていった。
私はため息を吐く。
そして、そのまま畳の上で寝てしまった。
♦︎♦︎♦︎
「美緒様…
美緒様…!」
目覚めると、綺麗なおかっぱの女の人が居た。
「初めまして。
凛と申します。
咲夜様より、あなたのお世話を言いつかっておりますので。
これ、着物です。」
凛さんは栗色の着物を差し出した。
栗色かぁ…
どうせなら桃色が良かったなぁ…
とにかく凛さんに着物の着付け方を習った。
そして、咲夜さん、凛さん、綺羅くん、私で夕飯を食べて、お風呂に入ってその日は眠りに付いた。
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