佐々山電鉄応援団 第2巻

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脱線事故の真相。  事故調の話だと、インスタントハッピーカンパニーが簡易的な脱線装置みたいなのを仕掛けていたらしいけど、その装置の手前から脱線していて事故が起きていた。  仮に、その装置を通過しても電車の車体自重が重くて圧し潰して脱線には至らないという調査結果があるらしい。  美佳ちゃんは「おいおい。未遂でも脱線させる装置を仕掛けた段階で悪党だろ」と憤慨していた。  僕も、あの事故の当日に渋沢駅にメイド服の女子が僕達を見張っていた事に 合点がいった  神林は「この件は、まだインスタントハッピーカンパニーは自分達が仕掛けた脱線器で列車事故が起きたと思っています」  美佳ちゃんは「なんで小湯線を脱線させる必要性があるのさ」と興味深々で尋ねた。 神林さんが説明を始めた。  佐々山電鉄小湯線は、国民に知られてはいけない未返還領土で、アメリカ航空宇宙防衛司令部直轄のアジア圏の弾道ミサイル監視用の無人基地が存在している。  それを、アメリカのドシキモ社という軍事企業が基地の民間委託を狙っていて、インスタント・ハッピー・カンパニー研究所という世界中の天才高校生達を集めた組織を使い、隠れ蓑で小湯線の廃線跡を使いRRMSという次世代交通の自動運転の実験線を建設しようとしている話。  美佳ちゃんは「ようするにRRRMSって奴を作るのはカムフラージュで、ドシキモ社の本当の目的はアメリカの作ったアメリカ本土に到達するアジア圏のミサイルを監視する基地の民間委託。その民間委託を受けるために、佐々山電鉄から小湯線の経営権を奪うのが目的って話?」  神林は「そうです。今回は君達、佐々山電鉄応援団に日本政府から密命があります。守秘義務、少々危険を伴うので護衛として自衛官二名を応援団の活動に参加させて頂きたい」  佐々山電鉄応援団への政府からの密命。  普通なら、そんな非常識で有り得ないような話は漫画か、小説の世界の中だけだ。 美佳ちゃんは、目をキラキラさせて 「おーっ。面白そう。いいねぇ。やろうぜ優」と快諾してしまった。  むしろ京子ちゃんの方が驚いていた。 「美佳さん。遊びじゃないんですよ」  美佳ちゃんは「悪の組織か。こりゃ楽しい夏休みになりそうだ」と意気込んでいる。  美佳ちゃんは簡単に引き受けたけど、根本的に何をするのか具体的にどうしたら良いのか解らずに承諾してしまっている。  京子ちゃんが呆れ顔で美佳ちゃんに 「まずは話をきいてくださいね」 「ほいほい」  美佳ちゃんは時々、利き腕の右手が骨折を動かそうとするので痛そうな顔をする。  神林という男性が言うには「インスタントハッピーカンパニーに鈴木さんと京子さんが潜入して貰います」と言う。 「潜入?」と僕は驚いて声を出してしまう。  そして美佳ちゃんに 「佐藤さんも重要な任務があります。佐々山電鉄応援団を駆使して、佐々山電鉄沿線の自治体と沿線住民に行動変容を起こして貰いたい」と言う。  美佳ちゃんは「行動変容?」と聞き返した。  京子ちゃんが「何かの切っ掛けで、固定観念を持っている人達に刺激を与えて、気持ちに変化を与えるの。行動や考え方を変えて貰うのよ.沿線の人達に 佐々山電鉄や群馬県に公共交通は必要だって」と微笑む。  神林は「長谷川学生は群馬県立沼川工業高校に転入させる。西村学生は鈴木君と佐藤さんの学校に転入させる」と言った。  京子ちゃんは「インスタントハッピーカンパニーには、優さんと一緒ならアタシも入ると回答してますので対応をよろしく」  神林さんと京子ちゃん達の来訪は、インスタントハッピーカンパニー日本支社が今日、ホテル鈴木に来ることを知っての行動だった。    
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