夢の代償

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今日は専門学校時代の友人に付き添ってもらい横浜の山下公園に来ている。 公園内は春の薔薇が咲き誇り(ちょうど薔薇の時期だったな)とあの事故を思い出した…。 「何か飲み物買ってくるけど実和子は何がいい?」 「炭酸の気分かな?」 「オッケー!果汁100%の炭酸あったらそれにするし…なければいつものフルーツ系炭酸ね」 「ありがとう」 自販機に向かう友人の背をみていたら手に持っていたハンカチを落としてしまった。 しまった…簡単に拾えないし…。 すると誰かがハンカチを拾って手渡してくれた。 「ありがとうございま…す」 ハンカチを拾ってくれた親切な人の顔を見るとあの夢の中で出会った女性によく似ていた。 女性はニコリと微笑むと左手薬指の指輪をみせて私にだけ聞こえる小さな声で。 「あなたのおかげで彼と一緒になれたの」 「この体はまだ歩くと痛いけど彼と夫婦でいられるなら笑顔で耐えられるわ」 そう…どこかで聴いたことあるダミ声で教えてくれた。 「あなたの歌…曲もいいし…私の旦那さんMiwakoのファンなんですって」 そして彼女はもう一度微笑むと私の目の前から去っていった…。
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