夢の代償

2/11
前へ
/11ページ
次へ
レッスンを早退した日から気まずくて次のレッスンもお休みしたが翌週…スクールの主宰者から連絡が来てスクールに呼び出された。 怒られるのかな…。 私は不安ながらも主宰者が控える部屋のドアをノックした。 「失礼します」 主宰者の九条は実和子をソファに座らせると話しを切り出した。 「柳沢さん…珍しくレッスン休んだそうね」 「すみません」 九条は慌てて実和子を責めるつもりはないと告げ受付スタッフから「柳沢さんの様子がいつもと違う」と報告を受けレッスン生からのヒアリングで秋山との件を知ったそう。 「秋山さんにはペナルティとして水面下で進んでいたある芸能事務所の新人アイドルグループへの推薦は取りやめたわ」 実和子が驚いているとさらに九条は話しを進めた。 「同じスクールで夢を追いかける者同士…相手を貶してはいけないと思うの…そんな生徒は本来このスクールには必要ない」 「それと柳沢さんが以前作ったデモテープ…私がお世話になった人に聴かせたら柳沢さんの曲をあるアイドルグループに歌わせたいって」 「え?」 九条の話だと今人気のアイドルグループ『エンジェル☆シスターズ』は元々プロデューサーが楽曲制作していたが、ネタ切れなのかここ1年位は他者が制作した曲を使う事が増えたと…。 「柳沢さんはこれからどうするつもりなの?」 「どうって…高校卒業したらアルバイトして…いずれは音楽で食べていきたいって」 「チャンスの女神様はそう何度も機会を与えるほどお人好しではないの…」 「…」 「1度関係者と会ってみない?」 それから関係者と面談をして私の楽曲をアイドルグループが歌うことが決まり私はアルバイトしながら音楽活動をしようと上京を決意。 両親はいきなり音楽の世界に入り生活出来るか心配だと東京の専門学校に通うことを条件に3年間仕送りをしてもらう事に。 両親からしたらもし音楽活動がダメになっても資格があれば食べていけるだろうという考えだ。 それから3年間…私は鍼灸の専門学校に通いつつ楽曲制作に取り組むという慌ただしい二足のわらじを履く生活を送った。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加