夢の代償

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専門学校を卒業して鍼灸師の資格を取ったが結局鍼灸の仕事は1度もする事はなく私は楽曲制作で食べていけるようになった。 「国家試験大変だったな…」 私はシンガーソングライターの夢を諦めきれないので自分で歌いたいと関係者に直談判したが『私の声』がネックとなり断念するしかなかった。 どんなにレッスンしてもダミ声だけは変わらなかった…。見た目と声のギャップが大きいのかはじめて会う音楽関係者や専門学校の生徒はざわつく事もあったがすぐに慣れてくれた。 (こればかりは秋山さんの言うとおりだったわ) 結局音楽スクールでトラブルとなった秋山は『パレットラブ』のメンバー卒業に伴う追加メンバーオーディションを受けてアイドル活動をしている。 『パレットラブ』は歌唱力に定評のあるさやか(実和子と同じ音楽スクール卒業生)がソロ活動のために抜けて『歌唱力がだだ下がり』と言われているが…さやかにも何曲か楽曲提供している実和子にはあまり興味のない話だ。 (秋山さん…さやかさんと比べると歌が上手いとは言えないものね…ビジュアルとダンスは評判だけど…)  お互い頑張ろーね。 そう心の中で呟くと私は僅かに残ったビールを飲み干した。
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