夢の代償

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その日の夜私は不思議な夢を見た。 子供の頃家族で出かけた島。島の海岸から美しい歌声が聞こえてきた。 私はその声に惹かれて海岸へ向かうと髪が腰まで長い若い女性が。 歌声に吸い寄せられるかのように女性に近づくと女性が振り向き何かを呟いていたけど顔は…わからなかった。 同じ夢を何度もみる日が続いていた私は久しぶりに鍼灸専門学校時代の友人と飲みに出かけた。 「どうしたの?実和子…」 私の様子を気にかけてくれた友人に打ち明ける事に。 「実は…」 私は友人に毎晩同じ夢を見る事を伝えた。 「なるほど…」 「もしかしたら何かのメッセージかもね?」 …何かのメッセージか…。 彼女は何を伝えたかったんだろう…。 その日の夢は少し鮮明だったがいつもと少し違った。 あの女性は腰までの髪が短くなり肩までしかなかった。 顔はぼんやりとしていてよくわからない。 彼女は私に…。 「まだ足りない」 耳に纏わり付くような怖いけど美しい声。 逃げたいけど逃げられない…。 「〇〇が欲しいのに髪の毛だけじゃ足りないって…」 吐息がまるで私の耳にかかるよう…。 「ねえ…あなたの〇〇ちょーだい」 「ただとは言わないから…」 「あなたの欲しいものはなぁに?」 そこで目が覚めた。
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