魔法の時間

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次に連れて来られたのは、alternativeの本店らしく、IKEDAの中に入っているショップと違って2F建のビルだった。 ショーウィンドウに飾ってある洋服は女優さんが着る服みたいで、ショップの中は更に別世界だった。 OFFはまたもやどんどん中に入っていくと、わたしを放っておいて、ワンピースを見ていた。 仕事かな? そう思って、何か見て時間を潰そうと思ったものの、手に取れるようなものがない。 店内には数人のお客さんがいたけれど、誰も値札なんか見ていない。 その中の1人が、スタッフに勧められるままトップスを数点選んで、最後まで値札を見ないまま購入していた。 「おい」 突然呼ばれてOFFの方を見ると、その手にワンピースを持っていた。 「着てこい」 「わたしですか?」 「早く」 「はいっ」 渡されたワンピースを着て、試着室を出ると、OFFはスタッフと話をしていた。 それで話が終わるのを待っていると、わたしに気がついたOFFが「これそのまま着ていくから」と行った。 着て行く? このワンピを? タグは? わたしの思っていることがわかったのか、OFFは笑いながら言った。 「タグなんかついてないよ」 頭がおいつかない。 「そこ、座って、靴脱いで」 「靴ですか?」 「早く」 言われた通り、ソファに座って靴を脱いだ。 「サイズは?」 「25です」 「そんなもんか」 そう言ってどこかに行くと、今度は靴を持って戻って来た。 「履いて」 「はい」 5cmのヒール…… 「立って。歩け」 「はい」 「どう?」 「歩きやすいです」 「わかった」 もういいのかな? もう一度ソファに座って靴を脱ごうとして怒られた。 「誰が脱いでいいって言った?」 「でも、これ売り物ですよね?」 「いいんだよ」 何が? OFFはまたスタッフと何か話始めたので、ソファに座ったまま待った。 「行くぞ」 「あ、はい」 車のところまで行くと、スタッフがたくさんの袋を車のトランクに入れていた。 「乗ってろ」 そう言われて素直に車に乗った。 しばらくしてOFFが運転席に乗ると、バッグを渡された。 「今持ってるやつの中身をこれに入れ替えて」 もう、抵抗する気も起きず、言われるまま中身を入れ替えた。 「次はどこですか?」 「食事。和食なら箸だからいけるだろ」 やっぱり…… この間、香雅里さんと柊真さんと4人で食事に行った時、OFFのわがままで中華になったと香雅里さんは言ったけれど、気を使ってくれてたんだ。
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