パーティ

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パーティ

香雅里さんの嘘つき。 パーティ会場となるホテルの広間の前まで来て、一気に緊張が高まった。 「お祖母様の誕生日をお祝いする小さなパーティだから」と言われていたけれど、ホテルで一番大きな広間だった。それに、周りには煌びやかな人たちばかり。 「もしかして緊張してる?」 隣にいる颯真がバカにしたような口調で言ってきた。 だから、大きく深呼吸して、頭の中で唱えた。 「これは企業フェスタ。いるのはバイヤーと企業の偉い人」 仕事だと思えばいい。 「大丈夫」 にっこり笑ってみせると、颯真は「ふうん」と、興味深そうな顔を見せた。 受付で、みんな招待状のような物を見せていたけれど、颯真が行くと、深く頭を下げられた上に顔パスだった。 わたしが知らなかっただけで、alternativeは有名なブランドなんだ。 だからそこの副社長ともなると有名人なんだ。 嘘でも、そんな人の「彼女」なんだから、せめて足を引っ張らないようにしなくてはいけない。 颯真のプレゼントしてくれたドレスが、わたしに勇気をくれる。 「香雅里に言う通り、今年はこじんまりしてるなぁ。まぁ、毎年どうでもいい人間ばっかり来るから、この方がいいか」 「えっ?」 「何?」 「何でもないです」 ……これで規模が小さいのかぁ。 辺りを見回していた颯真の視線が止まった。 その先を追うと、そこには香雅里さんが、誰か知らない人と談笑していた。 会場に入って、颯真が一番にしたことが、香雅里さんを探すこと。 柊真さんは一緒じゃないのかと探したら、少し離れたところで、数人の女性に囲まれて話をしていた。 女性達と話しながらも、柊真さんは時折、視線を別の方に向ける。 何を気にかけているのかと思い、その方向を見ると、柊真さんが見ているのは、香雅里さんだとわかった。 香雅里さんがそこにいることを、何度も確認するように、視線を向けている。 前に、颯真は、柊真さんが香雅里さんをどう思っているのかわからないと言っていた。 普段、柊真さんは香雅里さんと話をしていても感情が表に出ることはない。 だから、近くにいすぎて、わからなかったんだ。 颯真も柊真さんも、ふたりともが、香雅里さんのことを想っている。 このことに、ふたりは気づいていないの?
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