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ばいばい
車で迎えに来てくれるという颯真を断って、パークの入り口で待ち合わせをした。
並ぶのが嫌だという颯真を無理やり引っ張って、人気のアトラクションに片っ端から乗った。
ジェットコースターでキャーキャー言った。
水に向かって落ちていく乗り物のせいで、頭から水を被った颯真が悪態をつくのを横で笑った。
2人でポップコーンを食べながら歩いた。
本当のデートみたいに。
でも、写真は一枚も撮らなかった。
最後のパレードまで見ていたら帰りの電車がいっぱいになってしまうから、その前に出口に向かった。
「明日からまた仕事がんばろー」
「なぁ、販売促進部に戻してやることができるって言ったら?」
「そんなことしなくていいよ。颯真にわたしを異動させた人達と同じことをして欲しくない」
「花蓮らしい」
「販売も楽しいよ」
出口を出たところで、颯真が立ち止まった。
「今まで、付き合わせて悪かった。もう付き合ってるフリは終わりにしよう」
「ありがとう。楽しかった思い出だけ持って帰るね」
「あのさ、花蓮」
「ここでお別れがいい。ようやく肩の荷が降りた気分」
「そっか……香雅里には、オレが浮気してフラれたって言っておくから、合わせといて」
また、自分だけ悪者になろうとして。
「ばいばい」
振り返らずに、前だけを真っすぐに見て歩いた。
ばいばい、颯真。
最初、颯真と柊真さんの区別がつかなかった。
颯真を柊真さんと勘違いして惹かれた。
でも、今は絶対に見間違えたりしない。
颯真は柊真さんとは全然違う。
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