販売促進部へ

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颯真と別れてからの2週間は、あまりにもいろんなことが起きてついていくのが精いっぱいだった。 株式会社池田が、深水グループに買収された。 最初は提携の話で動いていたようだったけれど、それが一転買収に変わったらしい。 筆頭株主が深水グループに変わり、その次に堂元不動産が続いた。 経営陣は刷新され、代表は深水グループが海外から引き抜いて来た人物が務めることとなり、縁故入社で実力がないと見做された者達は、軒並みIKEDAに配置転換されるか、系列のスーパーへ出向になった。 これまで椅子の上でふんぞり返っていた人達が、いきなり販売なんかできるわけがない。 明らかに自主退職を狙っての異動だった。 深水さんはずっと、清掃員のフリをして自分の目で誰を残して誰を切るか、社員の仕事ぶりをチェックしていたらしい。 どうしてそこまで? と思っていたら、香雅里さんが「お祖母様、暇だったみたい」と教えてくれた。 でもきっとそれだけではなかったはず。 わたしはIKEDAから販売促進部に戻され、入れ違いで優次はスーパーに出向となった。あまり接客が得意とは思えない優次にとっては、かなり厳しい辞令になったんじゃないかと思った。 この異動が原因で、彼女とも別れたと聞いた。 彼女の高村聖奈はIKEDAの配送センターに異動になった。 販売促進部の中もだいぶ入れ替わって、村中さんには今まで誤解していたことを謝られた。 本当のことをわかってもらえればそれでいいし、またイベントの企画が出来ると思うとそれだけで充分だった。 誰がわたしを戻してくれたのか、わかってる。 ようやく会社の中のゴタゴタが落ち着いた頃、香雅里さんからお茶に誘われた。 「いろいろ大変だったでしょ? 楽しいことしましょ」 香雅里さんはにこにこ笑いながら、目の前のケーキを口にした。 もう4つは食べ終えて、今から5つめを食べようとしているところだった。 「ちょっとしたパーティを企画してるの。堅苦しいのじゃなくて、ガーデンパーティ。花蓮ちゃんもぜひ来てね」 「あの、どんな格好で行ったらいいんですか?」 以前颯真と行った、深水さんの誕生パーティが頭に浮かんでひるんでしまう。 「楽しい格好で来て! みんなが楽しめるような『集まり』にするから」 「わかりました」 「日時が決まったら連絡するね」 「はい、楽しみにしています」
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