ぱにっくあにまる

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「日本で沈没船から宝の山見つけて回収したら、それは国のものであってお前のものじゃねえわって言われて政府に没収されたみたいな絵になってる」 「沈没船からお宝拾って自分の物にできるのは海外だけだもんね」  その後ハムスターはブスっとした様子で回し車を走っていた。ハムスターもまあまあ表情豊かだよな、と思い映像を止めた。 「悪事……いや悪事なのかこれ。とにかくクレームがきてる。動物愛護団体から。動物をいじめてるってな」 「へー」  牧師の言葉に男はどこ吹く風だ。ちなみに犬の飼い主からは感謝の手紙が来ていた。 「他にも駅前の大量発生してるムクドリの群れの中で鷹の鳴き声流してムクドリを一斉に飛び立たせたとか。公園で鳩が大量にいる中で女の子に餌を手渡して鳩を群がらせたとか」 「女の子ギャン泣きしてた」  写真には女の子が泣き叫ぶ姿、顔以外鳩で埋め尽くされながら。平和の象徴もこれだけいるともはやホラーだ。鳩も一応、急に餌を見つけて大パニックだったようだ。 「女の子は動物愛護団体の対象外だからそっちはクレーム来てない」 「あっそ」 「いろんな報告がきてるんだよ。反省しろ」 「わたわたする動物、可愛くてついつい。まあでも誰も怪我してないし、いいでしょ?」  あっはっは、と笑う男。はっきり言ってクレームするほどでもないだろ、と思うことばかりで牧師はこめかみを揉む。 「なんだよこのほっこり映像たちは、俺の日ごろのストレスが吹き飛びそうだ」 「よかったね」 「あとでアライグマの映像くれ」 「ちょっと気に入ってるんじゃん」  じゃあ帰ろうかな、と立ち上がる男の脳天にチョップを入れた。 「本題がまだだ」 「え、今までのは違ったの?」  にこにこと笑う男。その顔は本当に楽しそうで。――悪魔のように美しい。 「本題な。空港で毒ガス撒いて三百人以上殺した件についてだ」 「なんだ、そっちか。まあ問題ないでしょ、動物愛護団体の対象外だもんね?」  ――それに、人間はパニックになっても全然可愛くないから。動物じゃないよ。  そんなことを、微笑みながら言った。
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