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「落合さん、これも何かの縁ですよ。引き受けてみませんか?
不謹慎なこと言いますけど、村っていうと伝承とか呪いとか、
ジメジメした出来事が多いでしょ、この事件はカワイイ!」
「いや、中野くん、伝承や呪いじゃないから難しいんだよ」
「でもすごく興味があります。だから僕も同行しますよ」
「えーっ?」
「えーじゃない、とにかく行ってみませんか?
伊崎さん、村は遠いんですか?」
「八作村です。八つ作ると書いて『はさくむら』
関東内なんですけど、山奥で過疎化が進んだ小さな村なんです。
幼稚園や小学校や中学校からは遠すぎて、家族ができると別の地に
引っ越してしまう、だから年配者とお年寄りしか住んでいません。
でも電車から先は、私が車を運転して一時間くらいです」
「割と近い!地方より行きやすいじゃないですか」
「中野くん、あのねえ」
「落合さん、村の謎解き、やりましょう!」
「あの、落合さん、中野さん、来てくれるだけでもいいです。
お願いできませんか?とにかく困ってるんです。
村人たちは怪現象に困惑というか、恐れていて気の毒なんです」
落合さんが少し冷めたコーヒーを一気のみした。
「わかりました、行くだけ行きます!
そもそも人が困ってるのは放っておけない!」
落合さんのそういうところ、僕は人として尊敬してるんです。
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