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マジかよ、マジかよ。
嘘だろ? 嘘だって言ってくれ!
「郷田、俺……静香と……」
聞きたくない、聞きたくない!
僕はフルフルと頭を小さく横に振る。
「俺、静香と付き合うことになった!」
うあぁぁぁぁぁぁ……
静香は顔を真っ赤にして、恥ずかしそうに藤の背中のシャツを握り、そこに顔を隠した。
「そりゃないぜぇ~~嘘だろぉ~♪信じぃ~られぇ~~~~なぁ~い~♪」
涙と一緒に感情が溢れた。
こんなタイミングで発症だ。それも念願叶って悲愴型。四分の一だ。
「僕の気持ちぃ~~知ってたお前はぁ~~♪俺の事を嘲笑っていたのかよ~~♪僕はとんだピエロ~♪いつも僕らを隔てるぅ~見えない壁叩いてるぅ~~♪」
僕は盛大に歌う。
流行遅れの僕の初発作を、みんなが薄笑いを浮かべながら見守る。教室は、僕の独壇場だ。
こんな時のために歌の練習をしてきたわけじゃないのに……
あふれる想いが止められない。
僕は歌い続けた。
苦しい……息が……続か…ない…
僕は意識を失った。
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