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僕は寝る間も惜しんで毎日歌の練習をした。おかげで声はカッサカサ。おまけに寝不足のせいで目の下にクマも出来ている。
おじいちゃん先生の生物、マジ子守歌……
あれぇ〜…おじいちゃん……未発症だったよなぁ……
僕はいつの間にやら眠っていたらしい。
気づけば授業は世界史になっていて、激昂型の発作を起こしたツルピカ先生が「寝るな、寝るな、寝るなぁ~~~~♪寝てる奴はぁ~どこだどこだどこだ~? ここだぁぁぁぁ!」と、歌にのせて喝を飛ばしてきた。ツルっとした額に青筋がたっている。激おこだ。
そして、うっかり愉快型の杉本が「おバ~カねぇ~~郷田ぁ♪」と歌ってしまい、他の愉快型もつられて歌いだす。
「僕のせいだな、ゴメン」と言って、僕はポリポリと頭を掻き、他のクラスメイト達も発作を起こした人たちが落ち着くのを待った。
誰かがポツリと「早く治療薬、普及しねーかな」と呟いた。
「特効薬、完成したらしいよね?」
「今、都心の方から順番に配送されているらしいよ」
「国民全員に送られてくるんだろ?」
「発症登録した順番だって聞いたけど」
クラス中が騒がしくなり、またツルピカの発作が起こる。
「あぁ~……」
みんなヤレヤレと呆れ顔をしてから、もう余計なことは言うまいと口を噤んで自習を始めた。
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