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学校から駅まで向かう帰り道、聖先輩と他愛もない話をしながらもどこか上の空だった。
やっぱりさっきのカラコン野郎に小突かれたのが気に食わない。
ぼくが何かしちゃったんなら分かるけど、あいつとどこかで接触したような覚えはない。
「どうした、ボーッとして」
聖先輩はぼくを心配してくれているようだった。
そうだ。先輩に訊いてみればいいんだ。
ぼくは自分の目尻を横に引っ張ってツリ目っぽくする。
「聖先輩、この学園で、髪がツンツンした茶髪で背が高くて、目がこんな感じで、瑠璃色のカラコンした男ってご存知ですか? 先輩の一つ下か、ぼくと同い年の」
「カラコン? 知らない。そいつがどうかしたの」
(そっか、知らないか。まぁこれだけの情報じゃ分からないかもな)
「さっき聖先輩が職員室に行っている間、遠くに行っちゃったボールを拾ってくれたんです。その人、聖先輩の事知ってるみたいだったから」
「ふぅん。名前は聞かなかったの」
「はい、聞けなくて」
聖先輩はまるで興味が無さそうに歩いていた。
その話はそこで終わり、一緒に電車に乗り込み、ドア付近に立った。
ぼくの下車駅が近付いて来た時、聖先輩はなんだかソワソワし始めた。
「小峰」
「はい」
見つめたかと思ったら、すぐに視線を外される。それだけでもう、言いたいことはなんとなく分かった。
聖先輩は外の流れる景色を見つめながら言う。
「明日休みだし、家に帰るのちょっと遅くなってもいいか?」
やっぱりこの人、ぼくを家に誘おうとしてる。
「あ、え、えっと、そうですね~……」
ダメだ。流されちゃダメだ。
電車はスピードを緩める。もうすぐぼくの降車駅に着く。
言うんだ。理由は何でもいい。練習で疲れちゃってとか、門限があるのでとか。
だってまずいよーー! 聖先輩の目が怖いし! ぼくきっとなんかされちゃうに決まってるよ!
「どうなんだ」
聖先輩が眉をひそめながら背中を丸めて、ぼくの顔を覗き込んだ。
近い。近い近い!
そんな近くで見つめられたら……
「だい、じょぶ、です」
言っちゃったよ……。
聖先輩は安心したように、ふっと口の端を上げた。
ぼくはやっぱり、勝てなかった、弱い自分に。
だって聖先輩が悪いんだ、カッコよすぎるから。
歩太先輩、ごめんなさい。
何度か謝りながら、ぼくと聖先輩は緑ヶ丘駅で降りた。
聖先輩の家の前に着いて、先に玄関に上がらせてもらった。
「お邪魔しまー、」
すると急に、この前のエレベーターの中みたいに、背後から抱きつかれた。
聖先輩は匂いを嗅ぐのが好きらしい。首元に顔を埋めて鼻をならされると一気に恥ずかしくなる。
「先輩っ、ぼく汗かいててっ」
「ん、なんか、それもいい」
「あっ」
ペロッと耳の付け根を少し舐められただけで、ガクンと膝から落ちた。聖先輩はそんなぼくの体を片手で受け止めてくれる。
「んんっ……そんなとこ、だめぇ……」
「ここ、弱いの?」
すぐに見抜いた聖先輩は、耳朶をハムハムと唇で挟んだり、耳の中に舌を入れてきたりする。
そんなところを誰かに舐められるだなんて初めての体験で、ぼくは頭が沸騰した。
「あっあっ!」
逃げようと試みるも、聖先輩は背中にピッタリとくっついてくるので離れられない。
靴を履いたまま上がり框に膝をつき、靴底は床に付かないように中へ逃げると、聖先輩も靴を脱がずにぼくの体に両手を這わせてきた。
そして急に制服のシャツの中に手を入れられ、指の腹で小さな粒を押さえられた。
「ひぁんっ」
ビリッとそこから電流が走り、変な声が出る。同時に、腰全体にじわっと甘い疼きが広がっていく。
変だ。そんな所自分で触ったことないのに。
お風呂で洗う時に軽く触ってるのかもしれないけど、人に触れられてこんな風になるだなんて知らなかった。
聖先輩はぼくの小さな突起を親指と人差し指で摘んで、擦り合わせるように動かした。
最初はふにゃふにゃだったのに、今は真ん中に芯があるようにどんどん固くなっていくのが自分でも分かる。
「あっ……もうっ、やっ……」
恥ずかしくて涙が出る。
どうにか強すぎる快感から逃れようと、額を床に擦り付けてしまう。
二つの粒を固くされたころには、やっぱり体の中心は大変な事になっていて。
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