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え、とまた声を出そうとしたら、その手がゆっくりと上下した。ニュル、と二人の皮がめくれたのを見たら、恥ずかしさで発狂しそうだった。
「ああっ……ダメですっそれ……ッ」
聖先輩は構わず、手の動きを止めない。
たった二、三回扱かれただけで、じゅわ、と先端から透明な液体が滲んで流れ、聖先輩の指を濡らした。
「あっ、ごめんなさいっ」
「いいから、お前はただ気持ち良くなってろ」
俺が全部やるから、みたいな言い方。
ずるいよ聖先輩。さっきバスケ教えてくれてた時は応援さえもしてくれなかったくせに。今は優しい目で、ぼくの事をじっと見ている。ぼくがどんな反応をするのか、ひとつも見逃すまいとガラス玉みたいな瞳で。
「あっ……。ん……っ、ん、ぁ、あっ」
ぼくはお言葉に甘えて、聖先輩に全てを託してずり落ちないように必死にしがみつく。
熱い昂りを感じる。
聖先輩はどちらのものか分からない先走りの蜜を指で掬い上げ、亀頭にヌルヌルと塗りつけた。
うっすらと滲む汗。
もう、イくことだけしか考えられない。
「先輩っ……あ、あ」
「気持ちいいの?」
「ぅんっ……良すぎて……こわいっ」
聖先輩のとぼくのとが混ざりあって溶けていく感覚。
本当に死んじゃうかもしれないくらい、気持ちいい。
手の動きが少し変わって、追い上げが始まった。二人とも絶頂に向かっているのが分かる。
「あぁ……せんぱっ……もぅっ……」
「……ん」
いいぞ、と言われたのか、それとも幻聴なのか分からなかったけど聖先輩の声が聞こえて安心し切った瞬間、ぼくはぴゅ、と吐精した。
聖先輩も少しくぐもった耐えるような声を出してから、追いかけるように欲望を吐き出した。
はぁはぁと全力疾走した後みたいに荒く呼吸をしながらうっすらと目を開けると、聖先輩の手に白濁の液体がついているのが見えた。
あぁ、先輩の手の中に出してしまった……と顔を持ち上げて聖先輩を見たぼくは驚愕した。
蜂蜜色の髪や、上気した頬、シャツの所々にも精液が飛んでいた。
聖先輩は前みたく、ギロリとこちらを睨む。
「ひっ」
「だからイくんだったらイくって言えよな。こうなるから」
「い、言いましたよ! もうって」
「その時点ですでに遅いんだよ。あと3秒くらい早く言え」
聖先輩はティッシュの箱を手繰り寄せ、ぼくのと自分のを丁寧に拭き取った。
「シャワー浴びてくる。お前は?」
「あ、あとで借りてもいいですか?」
分かった、と言い、聖先輩は部屋を出ていった。
ぼくは、いそいそと下着やシャツを身につけていく。
シャワーの音がどこからともなく聞こえてきて、いまの出来事が夢じゃない事を悟った。
(やっちゃった。やっちゃったやっちゃったやっちゃった……)
どうしてまた、こうなってからじゃないと反省しないんだろう。バカなのかぼくは?
さっきぼくは兜合わせをしている最中、聖先輩に「怖い」と言った。
もちろん気持ち良すぎてって意味だけど、頭の隅では、聖先輩との距離がどんどん近くなって怖いともぼんやり思っていた。
このままだとぼく、聖先輩のことを好きに……
なったら、何か問題ある?
歩太先輩は好きだけど、告白をした訳ではないから、相手に好きな気持ちはバレていない。聖先輩はぼくと両想いなのを疑っていない。
だったらこのまま、聖先輩を好きになれたのなら全て解決……?
ブンブンと首を横に振る。
そんな裏切り出来ない。
ぼくは優しくて頼りがいのあって親切で笑顔が耐えないアイドルオタクの歩太先輩を好きになったんだ。
こんなんじゃダメだ、と頭をポカポカ叩いている姿を聖先輩に見られて、鼻で笑われた。
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