余命 明日の自分

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「まさか。そんなことしないよ」 「じゃあどうすんの?」 「俺は別に特別なことはしないよ。もし、俺が外に出掛ける機会があって、その時に彼女に出会うことがあったらって話だ」 「そんなことあるか?奇跡に近い確率じゃね?ってか、捕まることも怖くないっていうなら、ストーキングでもやりゃいいじゃん」 「馬鹿野郎。最初からそんなことしたら救うことにならないだろ。まぁ、その奇跡的な確率に期待でもしてみるさ」 朝陽はまたヘラヘラと笑った。あくまで彼は、その名前も知らない、話したことだってほんの数秒しかないその“彼女”を助けたいだけであった。以前に自分を助けてくれた“彼女”をこの命が尽きてしまう前に______。 そう決意した彼なのだが、病気がどんどん進行して、動くのもやっとという感じになっていった。朝陽はそんな自分を悔やんでいた。しかし、どんなことがあっても、彼女のことは助けたいと強く思っていた彼は、部屋から出る回数を増やしていった。その日々は、確実に朝陽の体を蝕み、その命を削っていたのだが、朝陽はそれをまったく苦にしていなかった。 そして、はやってくる______。 朝陽はその日の朝、痩せ細った青白い顔でベッドに横になっていた。そんな彼に、たまたま仕事が休みで彼の部屋を訪れていた大軌が話しかける。 「体調はどうだ?」 「すこぶる悪いよ。あー死ぬんだなーって感じだ。体は思うように動かないし」 「痩せたな、お前」 「ダイエットにはいいぜ?癌になるってのは」 朝陽はヘラヘラと笑ってブラックジョークを言う。 「死ぬ気でダイエットってか?冗談にならねぇぞ朝陽」 「こんな体調でも冗談言ってるんだから、笑えっての」 「だったら笑える冗談言えよ」
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