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「よし、これで全て終わりだな」
「大変です、親方!?」
「なんだ、どうしたそんな慌てて」
「扉なんですけど、当初と違って反対に設置してしまいました」
「なんだ、そんなことか。てっきり部屋割とか壁の塗り替えに問題が有ると思ったじぇねーか」
「大丈夫ですかね? 入れ替える必要ないっすかね?」
「別に大丈夫だろ。開け閉めには問題無いんだろ?」
「ええ、どの扉も点検しましたが、どこも異常はありやせん」
「ならこれで大丈夫だろう。もう期限も迫ってんだ。それに別に全建て替えなわけじゃねーし、今更やり直すって全部で幾つあると思ってんだ。気にするな、リフォームってのはそんなもんよ。
「そういうもんすかね」
「そういうもんよ。おいそれよりお前さん、ホテルの主任さん呼んで来てくれや」
「へい、わかりやした」
◇
「ニュースの時間です。〇X〇XXホテルで火災が発生しました。そこまで大事には至らなかったのですが、残念ながら多くの方が命を落とされました」
「いや~~どうしてそんなに多くの方が亡くなられたんですかね?」
「警察の調べでは、どうやら部屋に充満した煙を吸って死亡したみたいです」
「火はそこまで強くなかったんでしょ?」
「ええ、そうみたいです。原因は欠陥工事ではないか……と声が上がっているのですが、しかし後で調べたところ何処の扉も異常が無かったと言う事です」
「そうすると、恐らく皆がパニックを起こして、扉の開ける方向を間違えたんじゃないですか?」
「ええ、そうとも考えられています。実際消防署員が駆け付けた際には、多くの人がドアの前で倒れていたそうです」
「もし、皆様もこういう事が起きた場合は、冷静にドアの開ける方向を確認してみてください」
「いや、実際火事が起こったらそういうのは難しいですよ。私の場合はね、ホテルに着いたら予めドアの開閉の方向を必ず確認しますからね。それでドアのすぐ横にね、引くタイプなのか押すタイプなのかを毎回メモして貼ることにしていますよ。自分の家とは違うので、色々と構造が違うじゃないですか。人間いざとなると冷静に判断できなくなりますからね」
「なるほど、確かにそうですよね。私もお泊りする時に良く間違います。本当に良いアイディアですね。私も次回予定がある時は、是非その方法を使ってみようと思います」
「是非そうしてください。アナタの場合、色々な男性のお家に招待されることがあるでしょうからね」
「それはどういう意味ですか!?」
「おっと、これは失礼失礼……失言でした」
「今回亡くなられた皆様また関係者の方々には大変お悔み申し上げます。さて、次のニュースです。江東区で起きた事件で、被害者の女性が何者かに……」
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