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「――それで、すっかり忘れそうだったが……そう言えば、結構な衝撃発言してたよな。なんか、俺を買いたいとか」
「……あっ、うん」
それからややあって、何処か揶揄うように微笑みそう口にするエリス。……そうだ、そんなとんでもないこと言ったんだった。
……でも、なんで? 売春の苦痛から、エリスを救うため? ……いや、違う。……いや、違くはないかもしれないけど……それでも、それが最たる理由ではなく。
――私はただ、嫌だった。これ以上、彼が他の誰かと身体を重ねることが。これ以上、他の誰かを知ってほしくなかった。もう、今更だけど――それでも、私だけの彼でいてほしいと願ってしまった。
まあ、何にせよもう意味なんてないんだけど。買うと言っても、もはや私のお金じゃないし……それに……それに……私の命は、じきに終える。……だから……どうか――
「……どうか、最期に……私を、抱いて?」
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