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そう、彼の目を真っ直ぐに見つめ尋ねる。すると、暫し間があった後――
「……分かった」
そう、真摯に答えるエリスの姿が。最期に――そんな私の言葉が、紛れもない真実だと理解してくれたのだろう。……ほんと、勝手だなぁ。彼は、そんなの望んでいない。ましてや、こんな穢れ切った私なんかと――
「……ところで、ソフィ。誤解のないよう、一応言っておきたいんだが――別に、同じ境遇なら誰でも良かったわけじゃない」
「…………へ?」
「……今更だし、到底信じられないかもしれないが――俺は、あんたじゃなきゃ駄目だと思った。一目見た時から、あんたじゃなきゃ駄目だって。あんたは……誰よりも綺麗だよ、ソフィ」
「……っ!? ……エリ、ス……」
――そこからは、お互い一言も発さなかった。それでも、まるで心が重なっているように、いとも自然に身体を重ねる。お互い、すっかり穢れてしまった――それでも、誰より綺麗な生まれたままの姿で。
そっと視線を移すと、燭台に灯る暖かな火が仄かに揺れている。外の雪と対をなすような、鮮やかなオレンジ色の火が。そんな幻想的な光景をぼんやり眺め、再びエリスへ視線を戻す。そして――
――二人だけの空間で、灯火がふっと消えていく。
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