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……思えば、いつからだろう。身体を売ることに――顔も名前も知らない男性と交わることに、さしたる抵抗もなくなっていたのは。別に楽しくもないけど、それほど嫌なわけでもない。言ってみれば、ほぼ虚無――ただ淡々と、生きていくため事を熟すだけ。そして、これからも――
――いや……このままだと、そのこれからがあるかどうかも定かでないか。さしあたり、どうにか生きていける程度のお金はある。……それでも、この状態が続けばいつかは――
「……いや、別に良いんじゃない?」
黙考の最中、ふとそんな言葉が洩れる。そうだ、今更だけど……別に、死んでも良くない? そもそも、こんな希望も何もない惨めな人生――どうして、無理に生命を繋ぐ必要なんてあるのだろう。それこそ、今この瞬間にでも――
「――なあ、ちょっと良いか?」
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