困惑

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「……あの、エリス。これは、その……」 「……悪いな、大した食事(もん)は出せな――」 「いやそうじゃなくて! そうじゃなくて……その……ただ、申し訳ないなって。エリスは、お客さんだし……そうでなくても……その……」 「……ああ、そんなことか。別に気にすんなよ。客側(こっち)が勝手に出す分には自由だろ?」 「……まあ、そう言われれば」  それから、数分経て。  そんなやり取りを交わしつつ、円卓にて向かい合う私達。そんな二人の前には色の良い羊肉、ほんのり湯気の漂うスープ、イチジク、黒パン、そして芳醇な香り漂う飲み物が。控えめに言っても、私にとっては十分に大した食事(もの)で――  ……でも……なんで? なんで、そこまでしてくれるの? 私なんかのために、どうして――
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