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未開拓な僕ら
「ちょっとさ、真面目にやってくれません?」
「え」
「ぬるいんだよね、女王様」
「すみません。私、最近働き始めたばっかりで」
坂巻とバイト女王様のイチ子はホテルの一室で向かい合っていた。
「あの、坂巻さん、無理を承知でお願いなんですけど、教えてもらうことってできますか」
「うーん、そういうのって普通お店でやるんでしょ?」
「一応やったんですけどねぇ」
「別に良いんだけど。まあ、女王様育てるのも、悪くないかぁ」
だったら、と。
「まずはやられる気持ちを理解しましょう」
坂巻はイチ子を拘束し始めた。
「イチ子さま、女王様を縛るのは、ホントはとても心苦しいんですけど、お許しくださね」
「いいの、坂巻さん、これは私の命令だから。しっかりやりなさい」
「はい」
坂巻はもう何年もMとして色々な女王様を相手にしている。特定の相手はいないから、いわゆる野良というやつだ。
「縄はちゃんと緊縛の先生に習ってください。難しいから。今日はさ、簡単な縛り方と、あとは拘束具を使います。口もやってもいい?」
「まかせます」
手を後ろに回して手首を幅の広い拘束具で止める。ベルトを締めているが内側はフワフワなのであまり痛くない。それでも動きを制限するのには十分だ。
胸の上下に縄を渡して前を絞ると、イチ子のふくよかな胸は布の下で形を変えて窮屈そうに張りつめ、その先端はうっすらと輪郭を現す。
坂巻は縄の間からその布をずらしてイチ子の胸を露わにした。
「ほんとはさ、こんなことされたら女王様はキレるんだけど。まだ、平気そう?」
「大丈夫みたい、まだ」
「勉強熱心だね、イチ子さま。かわいいね」
「女王様に向かって生意気な口を利くんだね。後でたっぷりお仕置きだ」
「ふふふ、楽しみにしています。では続けましょうか」
坂巻はニヤリと笑うとイチ子の胸の先端を舌でなぞった。
「あらら、イチ子さま、どうしたの?女王様のくせにこんなことで声なんて出しちゃって、恥ずかしいなぁ」
目を閉じて深呼吸をし、息を整えたイチ子は坂巻をキッとにらみつける。
「まだまだ、始めたばかりでしょ。次は叩いてみたら?あなたにできるかわからないけど、そんな勇気はあるかしら?」
すこしふざけてイチ子を煽ってみた坂巻だが、それ以上にイチ子は要求する。
「ほんとに?ほんとに良いの?」
「いいから、私に従いなさい」
坂巻は少し躊躇った。まだヒヨッコとはいえ、一応女王様を名乗る彼女を殴るのは気が引ける。だけど、それと同じくらい、右手のザワザワした感覚を自覚している。
口にボールギャグを噛ませ、いままで自分がどう責められていたのか思い出しながらイチ子の顔を見た。
坂巻はイチ子の体をひっくり返しうつ伏せにする。
Tバックの尻は艶々でまるっとして形よく、程よい脂肪がついている。
骨が出てとんがった尻はいけない。やっぱりこうやって適度な脂肪がついた、顔をうずめられるほど大きく丸い尻でないといけない。
坂巻は満足そうに手のひらをぴったりあててその尻を撫でた。
平手で打つと、たっぷりとした良い音がした。
坂巻はもう少し力を入れて何度も打つ。
そのたびにイチ子の皮膚は震え、その中の筋肉がピクピク動く。
小刻みに震える尻を見ていると、胸の奥からなにかがこみ上げてくる。
苦しくて喉をおさえるが、どうやら喉や胸なんかじゃなくて、もっともっと奥にあるものがせり上がっきているようだった。
逃れるようにもう一度イチ子を打った。
バチン!
大きな音を立てて尻の肉が震え、イチ子がのけぞって声を上げた。
そこは赤く皮膚の下に絵の具がにじむような、蜘蛛の巣のような細かいまだらな痕ができていた。
思わずその痕に頰擦りし、熱くなったその場所に唇をあてた。汗をかいてしっとりとした尻頬を舐めると、少しだけしょっぱい味がした。
自分が打ったイチ子の熱さを確かめるように、坂巻は一心不乱に舌を這わせている。
喉のつかえはいつの間にか無くなっていた。
「ごめん。ちょっと強くし過ぎたかな」
坂巻は我に返ってイチ子に声をかけた。
だけど返事がない。
彼女を仰向けにするとそこにはさっきまでいたイチ子とは別人のような女が横たわっている。
その女は濡れ、上気し、惚けた目で空を見つめる。ギャグの隙間から唾液がダラダラとあふれている。
「すごい濡れてるよイチ子さま。女王様なのにどうしたの?」
そう声をかけた坂巻も、自分の体が今までとは真逆の反応をしているのに驚いている。
強く硬く天を突く自分自身は嬉しそうに脈打ち、先端からはトロトロと露をあふれさせているのだ。
坂巻は今まで誰にも飼われなかった理由が今わかった気がした。誰一人しっくりくる女王様がいなかった。それは、求めている相手が間違っていただけだった。
「なんだ、僕、違うんじゃん」
坂巻は女の髪の毛を鷲掴みにすると、口の中に自身を捩じ込む。
女は丹念にそれを奉仕する。坂巻が少しずつ少しずつ深く捩じ込んでいくと、喉の奥からくぐもった音がした。
ゲホゲホとえずいてしまうが、すぐにまた戻る。
「偉いね、最後までしっかりね」
更に捩じ込まれ、先端で喉の奥を突かれた苦しそうな女の顔は坂巻を喜ばせた。
熱く滾る坂巻の全てがドクドクと口の中に注ぎ込まれると、女はそれをこぼさずすべて飲み込んだ。
「さすが、イチ子女王様。根性座ってて最高だね。最後まで頑張ったご褒美は何がいいかな」
坂巻は楽しそうにイチ子の体を指で辿った。
指先が触れるたび、皮膚は痙攣し、じっとりと汗をかき、口からはため息が漏れる。
溢れ出て止まらない水の出口は、少し触れるだけで体ごと波打たせてしまう。意地悪な坂巻はなんども寸前で止めるから、ついに女は泣き出して、どうか許してくれと懇願する。どうか逝かせてくれと懇望する。
その態度に坂巻はこの上ない喜びを感じていた。
坂巻の大きな笑い声が聞こえる。
そのすぐ後に女の甘美な絶叫が続いた。
絶叫は高く長く、遠吠えのように響き渡る。
それは、世界が変わる合図でもあった。
End
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