17人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ……おはよう……」
白峰さんが、罰悪そうに、苦笑いをしている
「おはようございます」
「あ……おはよう…ございます」
「あ……えっと……ごめんね?なんか……タイミング悪いところ、通ってしまって……」
「いえ。昨日も沢山イチゴ、ありがとうございます。白峰さん、これから仕事ですか?」
と、聞くと
「うん。あ~……余計なお世話だろうけど、外だと、他の人に聞かれたりするから……」
ですよね……
「はい。気を付けます。行ってらっしゃい」
?
ちょっと驚いた顔をした後
「行って来ます」
そう言って出掛けて行った
「やっぱ…雪に似てんなぁ~」
「そうかな?俺は、旭陽さんに、雰囲気が似てると思った」
「旭陽さん?ああ……俺、直接会った事ないからなぁ……って、それより!家入って、さっきの話、じっくり聞かせてもらおうじゃないか」
「夏、大学は?」
「今日は、午後からの講義だけ」
「……そう」
大学行ったら……
あいつが居る……
俺の居ないところで
夏にベタベタ触れるんだ
俺…頭イカれたのかな
ただでさえ面倒な奴なのに
「で?何?俺と離れて暮らそうとしてんの?」
ダイニングテーブルを挟んで座った夏が、睨んでいる
「旭陽さんに……相談してみようかなって……」
「俺が、あんまり干渉し過ぎて嫌になった?」
「そんな訳!…ないじゃん。夏には…感謝しかないよ」
「じゃあ、なんで?」
「俺の…問題だから……俺が…おかしくなっちゃったから……夏とは……居れないんだ」
「それって……昨日、俺がおでこ触ったら、顔赤くしてたのと、関係ある?」
え?
夏……気付いてる?
だったら、離れて暮らす理由……分かるだろ
「そう……そういう訳だから、今日、旭陽さんに、相談してみる。すぐにって訳にはいかないかもしれないけど……」
「なんで旭陽さんなの?」
「え?だって…ここのマンション…」
「まず俺だろが!なんで、そんな大事な事1人で決める訳?!」
「いや、だって……夏に相談したって、困らせるだけだろ」
「だから!何で勝手に決めんだよ?!」
何で夏が怒ってるのか、分からない
俺の気持ち分かってくれたなら、すぐにでも離れて暮らしたいと思うだろ
友達じゃなくて、そんな風に見られてるなんて
「……気持ち悪いだろ」
「は?」
「俺は!ちょっと前までの俺じゃないんだ!夏の事からかって、ふざけて、くっ付いたり、キスしたり……もう…そういうの、ふざけてなんて出来なくて……夏におでこ触られただけで、ドキドキする、キモい奴になっちゃったんだよ!俺だってなりたくてなった訳じゃないけど……気付いたら……そうなってたんだから……しょうがないだろ?」
くっそ恥ずい
もう限界だ
「じゃあ…そういう事で」
さっさと部屋に行こうとすると
「雪!」
後ろから夏が抱き付いてきた
「何?俺の事、馬鹿にしてんの?今まで俺が、からかったから、仕返し?……離してよ」
「全然、気持ち悪くなんかない。そりゃ…雪が、まさか俺の事……そんな風に思うなんて……未だに信じられないけど……お前に嫌われるより、ずっとマシだ」
「……言ったでしょ?誰かの事、強く思ったり思われたりしたくないんだ。恋愛なんて、死ぬまで誰ともする気はない。夏は優しいから、一緒に居たら俺の気持ちに流されちゃう。俺が………夏と……は…離れて暮らしたいんだ……」
夏の体温……
夏の匂い……
夏の優しい声……
離れたくなくなっちゃうから
「お願い……離して……」
最初のコメントを投稿しよう!