雪side

3/3
前へ
/48ページ
次へ
「あ……おはよう……」 白峰さんが、罰悪そうに、苦笑いをしている 「おはようございます」 「あ……おはよう…ございます」 「あ……えっと……ごめんね?なんか……タイミング悪いところ、通ってしまって……」 「いえ。昨日も沢山イチゴ、ありがとうございます。白峰さん、これから仕事ですか?」 と、聞くと 「うん。あ~……余計なお世話だろうけど、外だと、他の人に聞かれたりするから……」 ですよね…… 「はい。気を付けます。行ってらっしゃい」 ? ちょっと驚いた顔をした後 「行って来ます」 そう言って出掛けて行った 「やっぱ…雪に似てんなぁ~」 「そうかな?俺は、旭陽さんに、雰囲気が似てると思った」 「旭陽さん?ああ……俺、直接会った事ないからなぁ……って、それより!家入って、さっきの話、じっくり聞かせてもらおうじゃないか」 「夏、大学は?」 「今日は、午後からの講義だけ」 「……そう」 大学行ったら…… あいつが居る…… 俺の居ないところで 夏にベタベタ触れるんだ 俺…頭イカれたのかな ただでさえ面倒な奴なのに 「で?何?俺と離れて暮らそうとしてんの?」 ダイニングテーブルを挟んで座った夏が、睨んでいる 「旭陽さんに……相談してみようかなって……」 「俺が、あんまり干渉し過ぎて嫌になった?」 「そんな訳!…ないじゃん。夏には…感謝しかないよ」 「じゃあ、なんで?」 「俺の…問題だから……俺が…おかしくなっちゃったから……夏とは……居れないんだ」 「それって……昨日、俺がおでこ触ったら、顔赤くしてたのと、関係ある?」 え? 夏……気付いてる? だったら、離れて暮らす理由……分かるだろ 「そう……そういう訳だから、今日、旭陽さんに、相談してみる。すぐにって訳にはいかないかもしれないけど……」 「なんで旭陽さんなの?」 「え?だって…ここのマンション…」 「まず俺だろが!なんで、そんな大事な事1人で決める訳?!」 「いや、だって……夏に相談したって、困らせるだけだろ」 「だから!何で勝手に決めんだよ?!」 何で夏が怒ってるのか、分からない 俺の気持ち分かってくれたなら、すぐにでも離れて暮らしたいと思うだろ 友達じゃなくて、そんな風に見られてるなんて 「……気持ち悪いだろ」 「は?」 「俺は!ちょっと前までの俺じゃないんだ!夏の事からかって、ふざけて、くっ付いたり、キスしたり……もう…そういうの、ふざけてなんて出来なくて……夏におでこ触られただけで、ドキドキする、キモい奴になっちゃったんだよ!俺だってなりたくてなった訳じゃないけど……気付いたら……そうなってたんだから……しょうがないだろ?」 くっそ恥ずい もう限界だ 「じゃあ…そういう事で」 さっさと部屋に行こうとすると 「雪!」 後ろから夏が抱き付いてきた 「何?俺の事、馬鹿にしてんの?今まで俺が、からかったから、仕返し?……離してよ」 「全然、気持ち悪くなんかない。そりゃ…雪が、まさか俺の事……そんな風に思うなんて……未だに信じられないけど……お前に嫌われるより、ずっとマシだ」 「……言ったでしょ?誰かの事、強く思ったり思われたりしたくないんだ。恋愛なんて、死ぬまで誰ともする気はない。夏は優しいから、一緒に居たら俺の気持ちに流されちゃう。俺が………夏と……は…離れて暮らしたいんだ……」 夏の体温…… 夏の匂い…… 夏の優しい声…… 離れたくなくなっちゃうから 「お願い……離して……」
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加