夏希side

5/7
前へ
/48ページ
次へ
雪が……真っ赤になって 大声で…… 必死になって……… こんな必死な雪……初めて 「じゃあ…そういう事で」 雪が、さっさと部屋に行こうとする 「雪!」 後ろから雪に抱き付く 「何?俺の事、馬鹿にしてんの?今まで俺が、からかったから、仕返し?……離してよ」 そう言ってる雪の耳は赤くて 死にたいと思ってる奴が 俺の事思って必死になってるのかと思うと たまらなく愛おしくなってくる 「全然、気持ち悪くなんかない。そりゃ…雪が、まさか俺の事……そんな風に思うなんて……未だに信じられないけど……お前に嫌われるより、ずっとマシだ」 「……言ったでしょ?誰かの事、強く思ったり思われたりしたくないんだ。恋愛なんて、死ぬまで誰ともする気はない。夏は優しいから、一緒に居たら俺の気持ちに流されちゃう。俺が………夏と……は…離れて暮らしたいんだ……」 そんな真っ赤な顔で、涙浮かべて…… 一緒に居たら流されちゃう? だから、こんなに可愛いく見えんのか? これが雪と同じ気持ちなのかは、分かんないけど 「その方に、恋愛感情を抱いてるという事で、間違いないのでは?!」 じゃあ……もう手遅れじゃね? 「お願い……離して……」 「泣くなよ。諦めて、俺と恋愛しろよ」 「………は……はあ?」 雪が俺から離れる 「お前…馬鹿だろ!俺はしたくないって言ってんだ!そんで、俺の気持ちに流されんなって言ってんの!」 「ふっ……」 「何笑ってんだよ?!」 適当も…どうでもいいも…どこにもなくて 必死な雪…… 「もう……手遅れだ」 雪をぎゅっと抱き締める 「なっ……ちょっと……何?」 「今みたいに必死な雪が好きだ」 「っ!……お……お前やっぱ、馬鹿にしてんだろ!夏が俺を、そういう意味で好きになる訳ないだろが!」 「なんで決めつけんだよ?」 「だって、男なんか好きになんないし、男が好きなら……」 雪が、ぎゅっと俺の服を握りしめる 「雪?」 「もしも……男にも、そういう感情持つなら…俺より空閑(くが)って奴の事……好きになるはずだ」 「は……はあ?空閑?何でそうなんの?!」 「だって……夏…あんな事されても……そんなに嫌がってなかったし…別に……気にしてなかったし……他の男に同じ事されたら、きっと気持ち悪くて怒るはずなのに……」 ふざけてんだって何回も言ってんのに 「じゃあさ、雪、同じ事してみてよ」 「はぁ?!」 雪が俺から勢い良く離れる 「す、す、す…する訳ないだろ!」 面白い あんなにベタベタくっ付いて キスまでしてきた奴が 「だって分かんないじゃん?雪にされて気持ち悪かったら、ほんとに空閑の事好きなのかもしんないし」 「えっ……?」 おお……ショックを受けてる顔 雪が……ちゃんと生きてる 生きてる振りじゃなくて 雪が真っ赤な顔で近付いてきて、抱き締める そっと服の中に手を入れたところで 「や……」 や? 「やっぱ無理!」 と離れた は? 「無理って何だよ?!お前こそ馬鹿にしてんだろ!ってか、気持ち悪いと思ってんだろ!」 「は……はあ?んな訳あるか!」 「お前、そもそも、俺を好きになりたくてなった訳じゃないとか言ってたな?失礼な奴だな!」 「だ…だから、恋愛したくないんだってば!死ぬ時辛…んぅっ」 死ぬって言うな 「ん…んふぅ……んっ……」 死ぬ事考えんな 「んはっ……ちょっと、夏っ…ふぁっ……」 そんな遠い先じゃなくていい 「……はぁっ……やっ……はっ…んっ…はぁっ……」 今日の…明日の…楽しい事考えろよ 「…んはっ……はぁ…はぁ…はぁ……なっ…何っ…すんだよ!」 「キス……俺としたかったんだろ?」 「……ばっ……はぁっ…馬鹿にすんな!」 「馬鹿になんてしてない」 「……はぁっ…はぁっ…だからっ……俺はっ……うっ……もう……こんな事……ふざけてっ…したくないって……ふっ…うっ……言ったのに……」 あんなに泣かなかった雪が 毎日泣いてる 「ふざけてない。雪とキスしても、気持ち悪くないよ」 「……っく……え?」 「これでもまだダメ?諦めて俺と恋愛しろ」 「……~~っ……分かんなっ……どっしたら……」 ぎゅ~っと雪を抱き締める 雪の気持ちの整理なんて一生つかないかもしれない これから毎日笑って暮らせたとして それを雪が許せる日が来るのかも分からない でも、雪をどうにかしてやりたい 雪を1番笑わせるのも、喜ばせるのも 俺以外の奴じゃ嫌だ そう思うくらいには、お前の事好きなんだから ほんとに…手遅れらしい
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加