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「雪…唇、痛くない?」
「……痛い…誰かさんが、激しいキスしてくるから」
ソファーに座ると、雪が、体育座りでそう答えてくる
「うっ……ごめん。ちょっと見せて」
俺が唇を見ようとすると
みるみる雪の顔が赤くなり
「やっぱ…大丈夫!」
と、顔を逸らす
まるで別人みたいだな
「こら、ちゃんと見せろ」
「だから!冗談だよ!痛くないって!」
「お前の痛くないは、全然全く信用出来ないんだよ!」
「や…やめろ……それ以上近付くな」
雪が、顔の前を両手で隠す
「な~に期待してんの?」
ニヤっとすると
「なっ?!何も!……馬鹿じゃないの?!」
と、そっぽを向く
まあ、これだけ喋れてれば大丈夫か
「雪……」
「何?!」
「俺の前から消えないで」
雪を抱き締める
「な…何?」
「お前が消えた1週間も、コンビニから出てきて、雪が居なかった時も……俺が、どんな気持ちだったか分かる?今朝……お前が消えて……俺が、どんな気持ちだったか分かる?」
「……だから……そうなるから、誰かを強く思わない方がいいんだって」
それは……死ぬ前提の話だろ?
「俺だって……昨日、あいつが…夏に触れてる間っ!あいつの手……切り落としてやりたかった!そんな風に思ったら……これから先、苦しいだけなのに……これ以上、苦しくならないうちに……離れたい」
「雪が……どんなに苦しくても、死ねないって思わせてやる」
「え?」
「どんなに苦しくても、俺と離れて死ぬのは嫌だって思わせてやる」
「……なっ……はっ?……どっから出てくんの?その自信?どんだけ自信過剰だよ?」
「だって、雪。俺の事すげぇ好きっぽいから」
「……は?!…はあ?!何言ってんの?馬鹿じゃないの?」
「ほら、否定しないし」
「はあ?!別に…わざわざ否定…」
雪の髪に顔を埋める
「な…夏?」
「俺……頑張るからさ」
「頑張るって?」
「俺が居て良かったって、死ななくて良かったって、思ってもらえる様に、頑張るからさ。雪もちゃんと俺と向き合ってよ」
「……勝手な事言ってんのは、分かってるけど……夏の事は好きだけど、俺の事は嫌いだから、死にたいのは変わってないよ?」
「知ってる。だから…死にたい日を1日ずつ延ばしてってやる。もうちょっと俺と居たいな。もう少し俺と話してたいなって。そして、気付いたら、じいちゃんになってる位にしてやる」
「……~~っそんなにっ……長く居たら……俺、別れられないもん……たった…18年しか一緒に居なくても……全然っ……」
「うん……だってまだ何ヶ月だよ?そんなすぐ、立ち直ったら、おばさんだってびっくりだわ。今は、受け止めれなくても、いいんだ。おばさんの為に泣いて、苦しんでやれ。けど、俺は俺で勝手にお前とのじいちゃん計画進めてるから」
「……何かを…期待するのはっ……怖いんだ」
「……分かった。サプライズがいいんだな?」
「ん?」
頭から離れて、顔を覗くと、不思議そうな顔をしている
「じゃ、デートは当日誘うことにしよう」
「は……はあ?!デ…デートって……」
「ぶはっ!顔、真っ赤!」
「なっ!俺で、からかうの、やめろ!」
今日も……
これから雪は1人だから……
「なあ、雪。嫌だったら嫌って言って?」
「何?」
「雪に、印付けていい?」
「印って?」
「キスマーク」
「キ…キス…!」
「見たら……俺が居なくても、少しは安心出来るかなぁ…って思ったんだけど……雪が嫌な事なら意味ないから」
真っ赤な顔で、考えて
「べ…別に……嫌って訳じゃないけど……」
「ほんとに?」
「ほんと…に…」
下を向いたまま答える
「じゃ、ちょっとソファーにもたれかかってて」
「……うん」
雪の首筋に近付くと……
?
震えてる?
もしかして……この前の…思い出した?!
バッと雪の顔を見ると
「なっ?!」
「………え?」
これは……怖い訳じゃなくて……
ちょっと……可愛い過ぎないか~?
「な…なんで突然、顔見るんだよ?!」
「いや…震えてたから、怖いのかと思ったら……ただただ雪が、可愛いだけだった」
「かっ…可愛いとか言うな!」
照れ屋だな~
散々こうやって遊んでたのに
「はいはい。んじゃ、失礼」
首筋の柔らかい部分に口付けると
ビクッ
「んっ!」
印を付ける様に吸ってくと
「んやっ…!ちょっ……なっ…夏……もっ……付いた」
俺の頭を抱え込む
もう付く訳ないだろ
元々相当な、くすぐったがりだしな
ヂュッ
「ん~……もうちょっとかなぁ」
「えっ?!もっ…いっ……てっ!なっ…夏っ……んっ…くっ……なっ…夏っ…!」
ヂュッ
「こんなもんかなぁ」
最後に、もうちょい付けとくか
「はぁ…はぁ…な…あっ!ちょっ…~~っ…やっ!…まっ……夏っ…な…~~~っ!」
ヂュッ
「うん。これなら鏡でも、よく……雪?大丈夫か?」
「だ……はぁっ…大丈夫な訳っ…はぁっ…はぁっ…あるか!」
「いや……なんで、キスマーク1つで、そんなんなってんの?」
「うっ…はぁっ…うるさい!はぁっ…お…俺はっ……キスマーク付ける側であって、付けられた事はないんだよ!」
メチャクチャ可愛い顔して
メチャクチャ男前な事言ってる
これが……ギャップ萌えってやつか?
いや…何か違うか?
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