雪side

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雪side

母さん……起きないな 疲れてるんだ 休ませてあげたいけど 俺が勝手に決めれる事じゃないし 「母さん、そろそろ時間だよ」 「……ん……雪?」 「ねぇ、疲れてるなら、仕事休ませてもらおうよ」 「……ん~?…えっ?!朝?!起きなきゃ!」 「雪、今日も朝ごはん作ってくれたの?ありがとう」 「学校もないんだから、このくらいするよ。ねぇ、ちょっと熱計ってみて?」 いつも通り…だけど なんか、少し…ぼーっとしてる? 「雪は、心配性だなぁ。大丈夫」 「お願い。計って」 「はいはい」 「37 .3℃!熱あるよ。休もうよ!」 「こんなの微熱よ。ちょっと走ったら、その位になってるなってる」 だって…なんか、いつもと違う 「そんなの、38.0℃だって言えばいいじゃん!」 「えっ?!雪!いつから、そんな悪い事考える子になっちゃったの?!」 「俺が悪い子でもいいから、休んでよ。全然…休んでないんだから、たまに休むくらい、いいだろ?」 具合悪い時くらい… 「だ~め。雪、4月から大学生だもの。雪と離れるのは寂しいけど…雪がちゃんと大学行ってくれるのは嬉しいから、頑張らなきゃね」 「頑張り過ぎなんだよ。大学行ったら、俺だって沢山バイト出来るし、あんまり無理しないでよ」 「分かってる。倒れちゃったら、雪の入学式、見に行けないもんね」 「そうだよ。ちゃんと来てよね?俺、絶対受かってるから」 「楽しみだな~。大学かぁ」 「行って来ます」 「ほんとに、具合悪くなったら帰るって言ってよ?俺、迎えに行くし」 「大丈夫よ。雪こそ、たまには何にもしないで遊んでて」 「俺の事はいいから!自分の事!」 「はいはい。行って来るね」 「うん。行ってらっしゃい」 行って……来るって…言ったのに…… 行ったっきり…… 大切な人に あんな風に置かれるくらいなら もう……要らない そう思ってたのに…… よりにもよって…… 「お願い……離して……」 早く離れなきゃ 「泣くなよ。諦めて、俺と恋愛しろよ」 は? 「………は……はあ?」 夏から離れる 今、何つった?こいつ 「お前…馬鹿だろ!俺はしたくないって言ってんだ!そんで、俺の気持ちに流されんなって言ってんの!」 こいつは……俺の為に何でもしようとするから 俺の為に…好きになりかねない 「ふっ……」 「何笑ってんだよ?!」 俺がこんだけ言ってんのにこいつ! 「もう……手遅れだ」 夏が抱き締めてくる 「なっ……ちょっと……何?」 「今みたいに必死な雪が好きだ」 こいつ! 「っ!……お……お前やっぱ、馬鹿にしてんだろ!夏が俺を、そういう意味で好きになる訳ないだろが!」 ほら もう流されてる それは同情ってやつなんだよ! お前が男好きになった事あるかよ? 俺もないけど…… 「なんで決めつけんだよ?」 「だって、男なんか好きになんないし、男が好きなら……」 もし……もしも男が恋愛対象になるなら…… あんな事されて、気持ち悪くないなら…… 「雪?」 「もしも……男にも、そういう感情持つなら…俺より空閑(くが)の事……好きになるはずだ」 「は……はあ?空閑?何でそうなんの?!」 「だって……夏…あんな事されても……そんなに嫌がってなかったし…別に……気にしてなかったし……他の男に同じ事されたら、きっと気持ち悪くて怒るはずなのに……」 俺に言わせるなよ 「じゃあさ、雪、同じ事してみてよ」 同じ事って…… 「はぁ?!」 夏から離れる こいつ…絶対俺をからかってる! 「す、す、す…する訳ないだろ!」 あんな…… あんな風に夏の事…… 無理だろ! 「だって分かんないじゃん?雪にされて気持ち悪かったら、ほんとに空閑の事好きなのかもしんないし」 「えっ……?」 あいつは大丈夫で……俺は気持ち悪い…… それは……なんか……ちょっとムカつく 今まで散々、夏をからかってきたんだ そんなん簡単だろ 夏に近付いて抱き締める な…何これ なんか…すっげぇ恥ずいんですけど?! え?こんなんじゃなかったぞ? 俺、すっかりおかしくなったんだな えっと……夏の服の裾から手を入れる それから…夏の腰とか…背中触って…… さ…触って? 夏が…あんな声出して……あんな… 「や……やっぱ無理!」 夏から離れる 無理無理!無理だろ! 俺が夏に…で…夏が…… いやいや無理! 「無理って何だよ?お前こそ馬鹿にしてんだろ!ってか、気持ち悪いと思ってんだろ!」 「は……はあ?んな訳あるか!」 なんで夏がキレてんだよ? 「お前、そもそも、俺を好きになりたくてなった訳じゃないとか言ってたな?失礼な奴だな!」 気付いたらなってたんだって 「だ…だから、恋愛したくないんだってば!死ぬ時辛…んぅっ」 なっ…… は? 「ん…んふぅ……んっ……」 なんで夏が今キスしてくんの?! ってか…… 嬉しくなっちゃうだろ! やめろ! 「んはっ……ちょっと、夏っ…ふぁっ……」 一度離してやったのに、また?! ってか、舌……やめろ! 「……はぁっ……やっ……はっ…んっ…はぁっ……」 やめろ!やめろ! 気持ち…良く… 離れたくなくなっちゃうだろ! 「…んはっ……はぁ…はぁ…はぁ……なっ…何っ…すんだよ!」 「キス……俺としたかったんだろ?」 この! 「……ばっ……はぁっ…馬鹿にすんな!」 「馬鹿になんてしてない」 俺が勝手に好きになったのが悪いんだけど 俺も散々夏の事からかってきたけど こんな……今……やめてよ 「……はぁっ…はぁっ…だからっ……俺はっ……うっ……もう……こんな事……ふざけてっ…したくないって……ふっ…うっ……言ったのに……」 くそっ…… こんなんで泣くなんて、信じられない 「ふざけてない。雪とキスしても、気持ち悪くないよ」 「……っく……え?」 気持ち…悪く……ない? 「これでもまだダメ?諦めて俺と恋愛しろ」 だって……夏…優しいから 「……~~っ……分かんなっ……どっしたら……」 ほんとに好きかなんて分かんないもん 俺が喜ぶ様に…安心出来る様に… ぎゅ~っと夏が抱き締めてくる ほら 今、俺が、こうしたら安心するって分かってる 俺の好きとは違う それに夏が気付いたら…… 俺はきっとまた……置いてかれるんだ
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