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「雪…唇、痛くない?」
ああ……唇…忘れてた
「……痛い…誰かさんが、激しいキスしてくるから」
ソファーに体育座りになり、下を向いたまま答える
「うっ……ごめん。ちょっと見せて」
夏が近付いて……
ちょっ…近い!
「やっぱ…大丈夫!」
と、顔を逸らす
「こら、ちゃんと見せろ」
「だから!冗談だよ!痛くないって!」
「お前の痛くないは、全然全く信用出来ないんだよ!」
夏が顔を覗き込んでくる
「や…やめろ……それ以上近付くな」
くそっ
絶対顔…赤い
顔の前を両手で隠すと
「な~に期待してんの?」
と、夏がニヤニヤ見てる
「なっ?!何も!……馬鹿じゃないの?!」
こいつ!
そっぽを向いてやる
絶対、今までの仕返しされてる
夏で遊び過ぎた
「雪……」
「何?!」
「俺の前から消えないで」
え?
夏が抱き締めてくる
「な…何?」
「お前が消えた1週間も、コンビニから出てきて、雪が居なかった時も……俺が、どんな気持ちだったか分かる?今朝……お前が消えて……俺が、どんな気持ちだったか分かる?」
今朝は…ただ散歩してただけなのに
「……だから……そうなるから、誰かを強く思わない方がいいんだって」
面倒なんだよ
どうせ、意味なくなるのに
なのに…あいつが、気付かせた
ほんとムカつく!
「俺だって……昨日、あいつが…夏に触れてる間っ!あいつの手……切り落としてやりたかった!そんな風に思ったら……これから先、苦しいだけなのに……これ以上、苦しくならないうちに……離れたい」
「雪が……どんなに苦しくても、死ねないって思わせてやる」
「え?」
「どんなに苦しくても、俺と離れて死ぬのは嫌だって思わせてやる」
「……なっ……はっ?……どっから出てくんの?その自信?どんだけ自信過剰だよ?」
「だって、雪。俺の事すげぇ好きっぽいから」
なんで、そんな嬉しそうなんだよ
「……は?!…はあ?!何言ってんの?馬鹿じゃないの?」
「ほら、否定しないし」
「はあ?!別に…わざわざ否定…」
?
夏が、俺の頭に顔を置いた
「な…夏?」
「俺……頑張るからさ」
「頑張るって?」
「俺が居て良かったって、死ななくて良かったって、思ってもらえる様に、頑張るからさ。雪もちゃんと俺と向き合ってよ」
夏は…俺が死ぬのを止めるのに必死なんだ
「……勝手な事言ってんのは、分かってるけど……夏の事は好きだけど、俺の事は嫌いだから、死にたいのは変わってないよ?」
「知ってる。だから…死にたい日を1日ずつ延ばしてってやる。もうちょっと俺と居たいな。もう少し俺と話してたいなって。そして、気付いたら、じいちゃんになってる位にしてやる」
じいちゃんっ…て……どんだけ先だよ……
「……~~っそんなにっ……長く居たら……俺、別れられないもん……たった…18年しか一緒に居なくても……全然っ……」
「うん……だってまだ何ヶ月だよ?そんなすぐ、立ち直ったら、おばさんだってびっくりだわ。今は、受け止めれなくても、いいんだ。おばさんの為に泣いて、苦しんでやれ。けど、俺は俺で勝手にお前とのじいちゃん計画進めてるから」
「……何かを…期待するのはっ……怖いんだ」
帰りを待ってるのも……
入学式に来てもらうのも……
いっぱいバイトして、綺麗な服……
「……分かった。サプライズがいいんだな?」
「ん?」
サプライズ?
突然、何?
夏が、顔を覗いてくる
「じゃ、デートは当日誘うことにしよう」
「は……はあ?!デ…デートって……」
「ぶはっ!顔、真っ赤!」
「なっ!俺で、からかうの、やめろ!」
人が真剣に話してたのに!
もうやだ……
疲れる
「なあ、雪。嫌だったら嫌って言って?」
「何?」
「雪に、印付けていい?」
「印って?」
「キスマーク」
は?!
「キ…キス…!」
「見たら……俺が居なくても、少しは安心出来るかなぁ…って思ったんだけど……雪が嫌な事なら意味ないから」
夏が居なくても…安心……
「べ…別に……嫌って訳じゃないけど……」
「ほんとに?」
「ほんと…に…」
下を向いたまま答える
「じゃ、ちょっとソファーにもたれかかってて」
「……うん」
ソファーの背もたれに、もたれかかると
夏が首筋に顔を近付ける
ちょっと…
か…髪……顔に……
夏の匂い…が……
突然、夏が俺の顔を見てきた
「なっ?!」
「………え?」
「な…なんで突然、顔見るんだよ?!」
「いや…震えてたから、怖いのかと思ったら……ただただ雪が、可愛いだけだった」
「かっ…可愛いとか言うな!」
なんだこいつ!
遊んでるとしか思えない!
「はいはい。んじゃ、失礼」
ビクッ
「んっ!」
っと…待って……
よく考えたら、付けられた事ない
「んやっ…!ちょっ……なっ…夏……もっ……付いた」
こっ…こんな、なの?!
付けてる時…こんな反応…されてた?!
思わず夏の頭を抱える
ヂュッ
やっと終わった
こんな疲れるもんだった?
「ん~……もうちょっとかなぁ」
え?
「えっ?!もっ…いっ……てっ!なっ…夏っ……んっ…くっ……なっ…夏っ…!」
ちょっと!
こいつ!
俺の反応は?!無視?
あっ……元々が、くすぐったがり体質だから、そのせいだと思われてる?!
ヂュッ
お…終わった……
もう無理……
「こんなもんかなぁ」
「はぁ…はぁ…な…あっ!ちょっ…」
今…
終わった風だったじゃん!
「~~っ…やっ!…まっ……夏っ…な…~~~っ!」
無理無理無理無理~!
ヂュッ
「うん。これなら鏡でも、よく……雪?大丈夫か?」
「だ……はぁっ…大丈夫な訳っ…はぁっ…はぁっ…あるか!」
「いや……なんで、キスマーク1つで、そんなんなってんの?」
「うっ…はぁっ…うるさい!はぁっ…お…俺はっ……キスマーク付ける側であって、付けられた事はないんだよ!」
くそっ!
お前に、付けられる側の気持ちが分かるか?!
俺も知らなかったけど
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