雪side

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「うっま!冷たいパスタも旨いもんだな」 「冷たいってか、夏はイチゴが入ってるから美味しいだけでしょ?」 信じられないけど、さっきまでイチゴ食べてたし 「うっ…そうとも言う。雪、あんまり果物とか食べる方じゃないのに、よく、こんなの作り方知ってたな?」 「前にテレビ番組でやってたんだよ。母さんが、美味しそう!って騒いでたから、1回作ってあげた事ある。あの時は、こんなに沢山イチゴ入れてあげれなかったけど」 しかも、安いからあんまり甘くなかった 「雪の歴代の彼女達が見たら、羨ましがるだろうなぁ」 「……夏は、男の人好きになった事あるの?」 「ないよ。雪だってないだろ?」 「ない……なんで夏を好きなのか謎……」 「お前、ちょいちょい俺を好きな事に納得いかないみたいな感じ出してくんの、やめてくれる?」 だって… どんなに格好いい男の人も どんなに仲良くなったり、優しくしてくれた男の人も 好きになった事なんかない 「だって…夏と恋人みたいな事するとか、想像しただけで……キモい」 「おい!ほんとお前失礼だぞ!キモい奴が、キスして、あんな気持ち良さそうな顔するか !」 「なっ!…はあ?!誰がそんな顔するか!」 「雪が。なかなかエロい顔してたよ♪︎」 なっ! 「もう夏とはキスしない!」 「照れんなって。まあ、照れてる顔も可愛いけど」 「お…お前は!俺の顔見るな!」 なんで、そんな嬉しそうな顔すんだよ 疲れる この前までは適当に出来てたのに 大学とバイトから帰って来て、こんなんだったら、俺休む場所ないじゃん! 「なあ、今朝何処まで行ってたの?」 「え?なんか…知らない道行ってみたら公園があって、そこのベンチで寝てた。起きたら、俺の上でにゃんこも寝てた」 「雪って、猫に好かれそうだもんなぁ」 「え?何で?」 「何となく」 「はあ?それより!夏の痴漢の話!」 忘れてないからな! 「なんか…俺が痴漢したみたいに聞こえるんだけど……」 「どんな奴か覚えてないの?」 「さあ?」 「夏!真面目に考えてよ!」 「雪が今度からは、ちゃんとやめさせるって言ったら、俺もそうしよっと」 また… そうやって、俺と同じだって言おうとする 「俺は…ちゃんとやめさせてるよ」 「嘘つけ!この前、黙って痴漢されたって言ってたろ!」 「だから、この前だけ!いつもは、ちゃんとやめさせてる。だから、夏も…」 「は…はあ?いつもはって、どんだけ痴漢されてんだよ?」 また、俺の事ばっかり… 「さあ?数えてないもん。俺の背の高さがいいのか、何なのか。でも大抵は、目が合ったり、向き変えたり、手後ろに回すと、やめるもんなんだよ」 「何、痴漢専門家みたいに語ってんだよ?!それでやめないなら、悪質じゃねぇか!」 「……夏には理解出来ないと思うんだけど……俺、ちょっと尊敬したんだよね」 「はあ?」 「ちゃんと会社勤めてて、まだまだ人生長いのに、痴漢行為。しかも男にして捕まったら、人生終わりじゃん?そのリスクを抱えて、朝からチャレンジする勇気って凄いなって思ってさ」 「馬鹿じゃないのお前?ただの変態だろが!」 「でもさ。多分、今もあの人はちゃんと仕事してるんだと思う。そういう生活、全部手放してもいいやって、そう思える位のものがあるって、凄いなと思ったんだ」 「……それは、人に迷惑かけないものだからこそだろ!雪に不快な思いさせといて、自分だけ気持ち良くなるなんてダメに決まってんだろ?!」 「うん。だから、俺以外の人ならダメだけど、俺だったから、あの人は運がいいなぁと思った。あと、わざわざ降りた後、目が合ったら、お辞儀してくれた」 「俺以外じゃなくて!俺もダメなの!絶対!誰かへのリスペクトは、他の事でしろ!お辞儀してくれたって何だよ!そいつ、雪の事なめて、絶対捕まらないと思ってるから、お辞儀なんてすんだろ?!腹立つな!」 ふっ…いつもの夏だ 「分かった。今度は、ちゃんとやめさせる。だから、夏もだよ?」 「ほんとだぞ?俺のは嘘だからいいんだ」 え? 「は?嘘?」 「雪が、全然俺の話聞いてくんないし、自分の事大切にしてくんないから、そう言ったら、少しは考えてくれるかなと思って」 は? 「バカ夏!心配させやがって!」 「お前に比べたら可愛いもんだろが。ってか、男なのにそんな痴漢に遭ってるって…もう1人で電車乗せれなくなるだろが」 「ぶはっ。夏って束縛彼氏だったんだ~」 「おっ…俺だって、そんなんした事ないけど…お前のこれまでの数々の出来事を振り返ってみろ!そうなってもおかしくないだろ!俺…この前、お前を襲った奴等、一生許さないから」 夏の一生は長いのに そんなの疲れるじゃん 「俺の怪我が治った頃には忘れてよ。ご馳走さま」 「忘れられるか!!」 びっ…くりした 「お前…あの時……」 「夏?」 なんか…泣きそうな顔になってるけど 「いや……何でもない。ご馳走さま」
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