雪side

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「俺も雪の声…好きだよ」 「そ?」 「雪の匂いは…どれ?」 「あっ…嗅ぐなよ!」 「何だよ?俺の匂いは嗅いどいて」 「そんな…くんくん嗅んでないもん!」 夏が、俺の手を持つ 「雪、痛くない?」 「痛くないよ。昨日も冗談だってば」 今度は左頬を触ってくる 「腫れは引けてきたけど、凄い色…」 傷に沿って指でなぞってくる 「んっ…」 「痛い?」 「痛くない…変な触り方しないでよ」 「あいつらに付けられた傷で…そんな声出すなよ…」 「は…はあ?!夏がおかしな触り方するからだろが?!」 「ほんとかな?じゃあ、他のとこも触ってみよ」 「はあ?!って…ちょっ!」 そのまま指を首筋に下ろして、変な触り方してくる 「やっ…やめっ…!んっ…!やっ…!……わっ !」 突然夏が、ぎゅっと抱き付いてきた 「な…何?」 「……っはぁ~…男相手とか分かんないし、雪相手にとか想像出来なかったけど、普通にムラムラしてきた」 「ム…は…はあ?!ちょっと!離れて!」 「やだ…ってかお前、好きな男がムラムラしてんだから喜べよ」 「よ…喜べるか!」 「………」 夏が、じっと見てくる 「何だよ?」 「早く唇治んないかなぁ。思いっきりキスしたい」 「お前!さっき、しただろが!」 「あんなのじゃなく、雪が俺にしたようなのだよ」 「なっ…は?!」 「お前、怪我したてで、よくあんなキス出来たよな」 思い出すと恥ずかしくなってくる だって、あの時は友達としか見てなかったから 夏が困る様な事ばかりしてたから 俺は…平気だったのに…… 今は……くそっ! 何でこんな事に! 空閑殺す 空閑殺す 空閑殺す 空閑殺す 「雪……雪……」 「……ん?」 「寝るならベッド行こ」 あれ? 寝てた? 「ちゃんとベッド行こ」 「……ん」 立ち上がって、歩き出して、ベッドに倒れこもうとした時 「あっ!ちょっと待て!」 後ろから、夏に引っ張られた 「……何?眠いから…」 「お前、その格好でベンチに寝てたんだよな?着替えろ」 「……いい。寝る」 「いやいや!ソファーまではいいが、ベッドはダメだ!」 「…はぁ…夏って、変なとこ潔癖症だよね」 「全然普通なとこだ」 言い返すのも面倒で、着替えをする 「だってお前、野良猫も乗っけてたんだろ?」 「…違うよ…可愛いにゃんこだよ」 この眠気のまま寝たいのに さっさと上を脱いで着替える 下を着替えてると 「ゆ……き…」 ? 「何?」 振り返ると 「…洗濯物…持ってくから」 「あんがと」 なんだ? 何でもいいや とにかく眠い ベッドに横になる 早起きしたけど、結局公園で寝たのにな ウトウトしてきたところで 「雪、もうちょいそっち行って」 「…?何で夏もここで寝るんだよ…」 「なっ!…いいから、そっちつめろ!」 「…んだよ」 コロンと壁側を向くと 「あ、こら。左を下にするな」 と、夏にひっくり返される 左? ああ…頬っぺか そんなの気にしないで寝てんのに ってか… なんで、こんな引っ付いてくんの…… 「夏…」 「なんだ?」 「そんなにくっ付くと…あっつい…」 「我慢しろ!」 なんでだよ でも、もういいや また…すっごく眠くなってきた ああ…夏の匂いするからかな あっついけど…心地いいや 安心する…… このまま時間…止まればいい そしたら…何考えたって 動けないから、死ぬ事も出来ない 俺が…死ねなくても……しょうがない…… そしたら…… きっと……夏……喜ぶ………
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