夏希side

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夏希side

肩寄せたまま、すやすや寝てしまった 嬉しいけど このままにしたいけど せっかくだから、ちゃんと寝せてやりたい 基本的に雪は、睡眠不足なんだ 昨日も、せっかく早く寝たのに 4:00に起きて、普通散歩行くか?! 「音も光もない世界で、静かに死ねる」 「たった3分で終わるんだ」 あんな話…夢物語みたいに 嬉しそうに喋りやがって… 「全国のダムに、雪の写真配ってやろうか…」 「雪……雪……」 「……ん?」 「寝るならベッド行こ」 寝惚けてんな 「ちゃんとベッド行こ」 「……ん」 雪がベッドに倒れこもうとしたところで思い出す 「あっ!ちょっと待て!」 後ろから、ぐいっと引っ張る 「……何?眠いから…」 「お前、その格好でベンチに寝てたんだよな?着替えろ」 「……いい。寝る」 「いやいや!ソファーまではいいが、ベッドはダメだ!」 「…はぁ…夏って、変なとこ潔癖症だよね」 「全然普通なとこだ」 言い返すのも面倒なのか、大人しく着替えをし始めた 「だってお前、野良猫も乗っけてたんだろ?」 「…違うよ…可愛いにゃんこだよ」 同じだろが 雪が上から着替え始め…… え? 今……腰の辺りに傷… なんの?いつ? 今朝?いや…そんな生々しいものじゃない 「ゆ……き…」 あ…あの時…の? 「何?」 雪が振り返る 「…洗濯物…持ってくから」 「あんがと」 洗濯物を持って洗面所へ行く え? あの時…あんな傷あったか? だって、俺、着替えさせて…… あ… 雪…酔ってグワン、グワンしてて 顔怪我してるのに、前に倒れない様にしてたから 背中…あんまり…見てなかったかも…… 部屋に戻ると、雪が既にウトウトしている 「雪、もうちょいそっち行って」 「…?何で夏もここで寝るんだよ…」 こいつ… 元の友達に戻ってる! 「なっ!…いいから、そっちつめろ!」 「…んだよ」 可愛くない! 雪がコロンと壁側を向いた 「あ、こら。左を下にするな」 雪を、こっち向きにして、抱き締める 「夏…」 「なんだ?」 「そんなにくっ付くと…あっつい…」 くっ付くなじゃないだけ、許してやるか 「我慢しろ!」 あの真っ赤になってた可愛い雪を返せ! 不服そうな顔しやがって すやすやと気持ち良さそうに眠り始めた ゆっくりと、上半身を起こす 基本、雪は熟睡だ ベッドの上に座り、ゆっくりと雪の服の裾をめくってく ゆっくり そ~っと…… なんか、俺…すごい変態みたい 「えっ…?」 ちょうど…腰骨の上辺り…… 背骨を挟んで両側… 思いっきり擦られた痕…… これ…絶対……相当痛かった…… 上は……大丈夫そう どういう事だ? 腰の辺りだけ…… あ、上は…服着てたから? この辺は、めくれ上がったのか 縦に擦られた痕 縦…に…… 体…縦に……両手……捕まれて…… 「っ!……はっ…」 そう…じゃないかなとは…思ってたけど…… こんな… こんなに傷付くだけ…… 「…はぁっ……ごめん……」 「それ以外にも色々出来る事あるだろ?男に興味もない奴が、無理矢理そんな事されたら……精神的ダメージが凄いと思うけど……」 「……だって…全然…言って……くんないから…」 傷…もう塞がってる 俺の知らない間に…勝手に治ってる 男のなんて知らない…… 「……雪っ…何…されたんだよっ……」 服を戻し、横になり、雪を抱き寄せる 「…ん~?」 俺の胸に、すり寄ってきた 「…ごめん……ごめんな…怖く…ない訳ないよな?痛く…ない訳ないよな?…悔しかったよな?すぐ傍に…居たのに……ごめんな?」 一生後悔する あの時…たった数分 雪を1人にした事を……
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