雪side

1/1
前へ
/48ページ
次へ

雪side

す~ す~ 寝た 失敗した 全然気にしてなかったから、背中の傷忘れてた 「……だって…全然…言って……くんないから…」 なんか…喋ってんなと思ったら 「……雪っ…何…されたんだよっ……」 服を元通りにされて思い出した 着替えの時、見えたんだ 何があったのか聞いてなくて、そんだけ落ち込んでるんだもん 話聞いたら、犯罪の臭いがする 突然また横になったから、びっくりしたけど 夏にくっ付いたから、バレなかったらしい 「…ごめん……ごめんな…怖く…ない訳ないよな?痛く…ない訳ないよな?…悔しかったよな?すぐ傍に…居たのに……ごめんな?」 そりゃ、多少はね けど、多分…夏が考えてる1/100だと思う 気にしてやる程の奴等じゃない 気にする程の事じゃない 多分俺は、そんなのより気になる事も、考えなきゃならない事も、やらなきゃならない事もあって あんな事は、あっという間に、記憶の彼方に飛んで行くと思う 「けど…夏は忘れないんだろうなぁ」 この目が開くと、余計な事気付いちゃって この口が開くと、余計な事言う 「ん~……?」 夏…熟睡 夏の髪… 俺より、しっかりした髪の毛 あいつに耳…触られて…… 髪を撫でながら、耳を触る 「んっ…」 耳…弱いんだな 人の耳って…不思議な形 初めてこんなに、じっくり見た 外側の輪郭がこうなってて 「んっ…ん~?」 耳たぶがあって その内側がこうなってて 「んっ…!」 更に内側に続いて穴の中に… 「あぁっ…!」 あ…起きた びっくりして、起き上がって、俺を見下ろす 「…え?何?雪…起きてたの?」 「うん」 「なんか…今……俺、凄い声出さなかった?」 「出してた。可愛いかったよ」 「は?!何した?」 「教えない♪︎」 「何だよ~。雪が寝てないなら、俺が寝てる意味ないだろ。さっさと起こせよ」 メチャクチャ耳感じてた 「寝てる意味あったよ」 「何で?」 「人の耳について観察出来た。興味深い」 「あっ!お前…耳触ったんだろ!」 「あいつの時より、いい声出してくれた」 「ばっ…馬鹿じゃねぇの?!」 「夏、顔真っ赤」 「うるせぇ!」 俺じゃなかったら あんな後悔も心配もないのに 「夏は、貧乏くじばっかり」 「何だよ?突然…」 ごめんね 出会っちゃって 「夏…やっぱり、もうちょっと寝てたい」 「……おお」 横になると、夏がまた抱き寄せる 「夏って…いつも彼女とこうして寝てたの?」 「なっ…俺の事ばっか聞くな!雪はどうなんだよ?!」 「…さあ?どうだったかな?…忘れちゃった」 「そうかよ。じゃ、黙って寝ろ!」 夏の声と…夏の匂いと…夏の体温 3点セット また…すぐ眠くなる 「…夏」 「ん?」 「ごめんね」 好きになっちゃって 「……寝る時くらい…何も考えんな」 「うん…」 「女を騙しそうな顔してるわ。汚らわしい!」 ビクッ! 夏の胸に顔を埋める 「雪?どうした?」 夏が、頭を撫でる 「夏…」 「ん?」 「父さんに…会ってみたい」 「……え?」 ほんとに…そうなのか どんな奴なのか… 「…今度、旭陽(あさひ)さんに聞いてみよう?何か知ってるかもしれない」 「……うん」 「でも今は、大人しく寝ろ」 言われなくても… 夏の3点セットがあれば… その上 優しく…頭撫でるから…… あっという間に……
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加